昔話『龍の淵』のあらすじ・内容解説・感想|おすすめ絵本
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 『りゅうふち』は、おかねになる“うるし”をれるため、兄弟きょうだい裏切うらぎい、対立たいりつする、きびしい内容ないようのおはなしです。だまう、うそをつく、おたがいの行動こうどうさぐうなど、よくくらむとほろぼすという、人間にんげんよくみにくさをたりにするおはなしです。

 今回こんかいは、『りゅうふち』のあらすじと解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

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概要

 『りゅうふち』は、宮崎県みやざきけん児湯郡こゆぐん西米良村にしめらそん小川地区おがわちく実在じつざいする「蛇淵じゃぶち」が舞台ぶたいのおはなしです。
 西米良村にしめらそんでは『蛇淵じゃぶちなまうるし』という民話みんわられています。

 『りゅうふち』の伝説でんせつとしてつたわるこの民話みんわは、島根県しまねけん能義郡のぎぐん広瀬町ひろせまち(現在げんざい島根県しまねけん安来市やすぎし)や福井県ふくいけん福井市ふくいしに、ほぼおな内容ないよう伝説でんせつが『頼太水よりたみず』という民話みんわとしてつたわることから、ているおはなし日本にっぽん各地かくちひろ分布ぶんぷしているのではないかとかんがえられます。

 また、げき作家さっか木下きのした順二じゅんじ昭和しょうわ22ねん(1947ねん)に発表はっぴょうした、『りゅうふち』とほぼおな内容ないようの『木竜もくりゅううるし』が、小学校しょうがっこう国語こくご教科書きょうかしょ採用さいようされたことで、よりしたしまれ定着ていちゃくしました。

 紙芝居かみしばいりゅうのふち (教育きょういく画劇がげきのかみしばい)』は、教育きょういく画劇がげきより出版しゅっぱんされています。高級こうきゅううるしつけたことで、よくおぼれていく兄弟きょうだい姿すがたを、篠崎しのざき三朗みつおさんがかりやすいぶん印象いんしょうてきつたえています。

 オンデマンドばん宮崎県みやざきけん民話みんわ (県別けんべつふるさとの民話みんわ)』は、偕成社かいせいしゃより出版しゅっぱんされています。むかし日向国ひゅうがのくにばれた宮崎県みやざきけんは、神々かみがみみどりゆたかかな山々やまやまおだやかなうみはさまれた太陽たいようくにです。みなみ九州きゅうしゅうという南国なんごくあかるい風土ふうどがはぐくんできたそこぬけにゆかいなおはなしと、こころあたたまる物語ものがたり不思議ふしぎ伝説でんせつなど30へん収録しゅうろくしています。

 『わらしべ長者ちょうじゃ (日本にっぽん民話みんわせん)』は、岩波いわなみ書店みしょてんから出版しゅっぱんされています。現代げんだいどもたちにはけっしてなじみぶかいとはえない擬態語ぎたいご擬音語ぎおんごがたくさん使つかわれているため、物語ものがたりゆたかな内容ないようになっています。「わらしべ長者ちょうじゃ」をはじめ「木竜もくりゅううるし」など、こえしてみたくなる民話みんわが22へん収録しゅうろくされています。

 ポケット文庫ぶんこ教科書きょうかしょにでてくるおはなし 5年生ねんせい』は、ポプラしゃより出版しゅっぱんされています。各社かくしゃ国語こくご教科書きょうかしょ掲載けいさいまたは紹介しょうかいされたものが集約しゅうやくされています。作品しゅうやく表記ひょうき原点げんてん忠実ちゅうじつで、全文ぜんぶん掲載けいさいされています。木下きのした順二じゅんじさんの『木竜もくりゅううるし』など、ことなる作者さくしゃによる豪華ごうか作品さくひんが11へん収録しゅうろくされています。大人おとなでもたのしむことができる一冊いっさつです

あらすじ

 むかしむかし、あるところにうるしりの兄弟きょうだいんでいました。

 あるあにうるしさがしてやまなかあるいていると、わるふちました。

 あにはうっかりなたふちとしてしまったので、もぐってさがしていると、ふちそこ良質りょうしつうるしまっているのをつけました。

 それをまちっていくとおどろくほど高値たかねれたので、そのからあにひとわったようになまものになってしまいました。

 あにおとうとふちうるしのことを秘密ひみつにしていました。

 しかし、あるあに行動こうどうあやしんだおとうとが、あにあとをつけてふちうるしのことをってしまいます。

 そして、おとうと良質りょうしつふちそこうるしまちりにき、あにおなじようになまものになってしまいました。

 おとうとふちうるしられたことがおもしろくないあには、ふちそこりのりゅうしずめておとうとうるしらせないようにしました。

 翌日よくじつふちもぐったおとうとは、りのりゅう本物ほんものかんちがいしてりました。

 それをあには、これでうるしひとめできるとふちもぐると、りのりゅううごしておそいかかってきました。

 あわててげましたが、自分じぶんつくったりゅううごくはずがないと、もう一度いちどもぐってみましたが、やはりりゅうおそいかかってきました。

 あになんとかることができましたが、そのりゅうふかふちもどったまま二度にど姿すがたあらわすことはありませんでした。

解説

 うるしは、「うるわし」や「うるおす」が語源ごげんといわれるように、大変たいへんうつくしい塗料とりょうです。

 日本にっぽんうるし歴史れきしふるく、石器せっき時代じだいから接着せっちゃくざいとして活用かつようされてきました。

 縄文じょうもん時代じだいには、うるし樹液じゅえき塗料とりょうとしてもちいられた土器どきうつわくしみみかざりといった装身そうしんをみることができます。

 うるしは、ウルシのかられる樹液じゅえきのことです。

 日本にっぽんでは、「うるしき」とばれる方法ほうほうで、ウルシの樹液じゅえき採取さいしゅします。

 一本いっぽんかられるうるしりょうは、わずか200gしかありません。

 樹液じゅえき採取さいしゅするために15~20ねんかけてそだて、6がつから10がつまでの5かげつかんうるしくし、採取さいしゅしたられてしまうので、役目やくめえた伐採ばっさいされます。

 そして、かぶからそだてて、またおないとなみをかえしていきます。

 わずか200gをるためにやく20ねん歳月さいげつをかけるうるしは、「一滴いってき」といわれるほど貴重きちょうなものとされてきました。

 それだけにうるしきは、職人しょくにんわざためされるおくふか仕事しごとなのです。

感想

 古代こだい中国ちゅうごく老子ろうしという思想しそうのこした、「知足者富ちそくしゃふ」という言葉ことばをご存知ぞんじですか。

 これは日本語にほんごの「るをものむ」の語源ごげんだといわれ、「満足まんぞくすることをっているものは、たとえまずしくてもこころゆたかであること」という意味いみです。

 近年きんねん世界せかいじゅう人間にんげん自身じしんつ“おかしさ”や“意地いじきたなさ”が表面ひょうめんしています。

 日本にっぽん日本人にっぽんじんが、そんな世界せかいとどううべきかということを一言ひとことでいうならば、「るをる」ということではないでしょうか。

 そして、「知足ちそくこころ」がもたらす“感謝かんしゃ”と“謙虚けんきょさ”をもとにした、他人たにんおもいやる「利他りたこころ」であるともかんがえます。

 老子ろうしおしえには、日本人にっぽんじん気質きしつほねみになっているものがいくつもありますが、謙虚けんきょさもそれにふくまれているといっても過言かごんではないでしょう。

 謙虚けんきょちがあれば、物事ものごと敬意けいいかんじずにはいられない感覚かんかくとなります。

 そうすると、りたちになれる可能かのうせいたかくなり、色々いろいろ物事ものごと吸収きゅうしゅうできるいた心境しんきょうにもなれます。

 物事ものごとたいして謙虚けんきょちでせっすることが習慣しゅうかんすると、物事ものごとへの感謝かんしゃちが自然しぜんいてきて、現状げんじょうたいしてりているとかんじることが自然しぜんえてくるので、自分じぶん自身じしん調和ちょうわでき、かかわるひととも調和ちょうわでき、物事ものごと上手うまはこぶようになります。

 その結果けっか満足まんぞくたかかたができることでしょう。

 この『りゅうふち』は、日本人にっぽんじんわすれずにつづけなければいけない、感謝かんしゃ謙虚けんきょさの重要じゅうようせいつたえているのでしょう。

まんが日本昔ばなし

りゅうふち
放送日: 昭和51年(1976年) 01月24日
放送回: 第0031話(第0016回放送 Aパート)
語り: 市原悦子・(常田富士男)
出典: 表記なし
演出: 小華和ためお
文芸: 沖島勲
美術: 阿部幸次・(青木稔)
作画: 金沢比呂司
典型: 龍蛇譚りゅうじゃたん
地域: 九州地方(宮崎県)

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最後に

 今回こんかいは、『りゅうふち』のあらすじと解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 『りゅうふち』は、日本人にっぽんじんわすれずにつづけなければいけない、“感謝かんしゃ”と“謙虚けんきょさ”の重要じゅうようせいつたえるおはなしです。ぜひれてみてください!

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