昔話『熊と狐』のあらすじ・内容解説・感想|おすすめ絵本
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 ずる賢がしこい狐きつねと純朴じゅんぼくな熊くまのユーモラスな対決たいけつ
 善よいものも悪わるいものも、自分じぶんが受うける結果けっかのすべては、自分じぶんが作つくった原因げんいんによるものです。そのことを伝つたえているのが、『熊くまと狐きつね』です。

 今回こんかいは、『熊くまと狐きつね』のあらすじと解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

概要

くまときつね いもとようこの日本むかしばなし いもとようこ  ‎ 金の星社 『熊くまと狐きつね』は中国ちゅうごく地方ちほうに属ぞくする岡山県おかやまけんに伝つたわる民話みんわといわれています。

 『熊くまと狐きつね』は、 ずる賢がしこい狐きつねが純朴じゅんぼくな熊くまを何度なんども騙だますユーモラスな展開てんかいが魅力みりょくで、最後さいごに因果いんが応報おうほうが訪おとずれる物語ものがたりです。

 ドイツのグリム兄弟きょうだいが収集しゅうしゅうし編成へんせいした世界せかい的てきに有名ゆうめいな童話どうわ集しゅう『グリム童話どうわ』の中なかにある「お百姓ひゃくしょうと悪魔あくま」とそっくりな内容ないようです。

 「お百姓ひゃくしょうと悪魔あくま」では、狐きつねがお百姓ひゃくしょう、熊くまが悪魔あくまを担になっています。

 『熊くまと狐きつね』は、狐きつねのずる賢がしこさに焦点しょうてんを当あてて描えがかれていますが、「お百姓ひゃくしょうと悪魔あくま」は、お百姓ひゃくしょうの賢かしこさや知恵ちえを讃たたえる内容ないようとなっています。

 絵本えほん『くまときつね (いもとようこの日本にっぽんむかしばなし)』は、金きんの星ほし社しゃから出版しゅっぱんされています。いもとようこさんが、和紙わしをちぎって貼はり合あわせ、優やさしく温あたたかみのある世界せかいを描えがき出だした、シリーズ全ぜん40巻かんの中なかの一冊いっさつです。いもとさんは、ちぎった和紙わしを貼はり合あわせて彩色さいしょくする「コラージュ」技法ぎほうの第一人だいいちにん者しゃです。温あたたかみのある質感しっかんと淡あわい色いろ使づかいで、動物どうぶつや植物しょくぶつがまるで生いきているように描えがかれ、見みる人ひとの心こころを優やさしく包つつみ込こむのが最大さいだいの魅力みりょくです。物語ものがたりは、ずる賢がしこい狐きつねに翻弄ほんろうされた熊くまが、最後さいごに知恵ちえを絞しぼって狐きつねに仕し返かえしをするという内容ないようです。いもとさんの柔やわらかな貼はり絵えと、子こどもがそのまま理解りかいできるように、平易へいいでリズミカルな言葉ことば遣づかいの文ぶんが重かさなると、穏おだやかな語かたり口ぐちだからでしょう、狐きつねの策略さくりゃくが怖こわくなりすぎず、熊くまの純朴じゅんぼくさが際きわ立だちます。貼はり絵えの柔やわらかさで、ずる賢がしこい場面ばめんさえ愛あいらしく感かんじられるのも不思議ふしぎな魅力みりょくです。賢かしこさと優やさしさを、柔やわらかな色いろと温ぬくもりで包つつみ込こんだ一冊いっさつです。

 かつてテレビアニメとして放送ほうそうされ、一大いちだいブームを作つくった、『まんが日本にっぽん昔むかしばなし』の絵本えほんが、二見ふたみ書房しょぼうより出版しゅっぱんされました。一ひとつのケース(1巻かん)に一いち話わ1冊さつで5冊さつのお話はなしが入はいっています。1巻かん~30巻かんが発売はつばいされているので、全ぜん巻かんで150話わの昔むかし話ばなしを楽たのしむことができます。『熊くまと狐きつね』のお話はなしは『まんが日本にっぽん昔むかしばなし 第だい10巻かん』の中なかに収録しゅうろくされています。

 絵本えほん『グリムどうわ (母ははと子このおやすみまえの小ちいさな絵本えほん)』は、ナツメ社しゃから出版しゅっぱんされています。児童じどう文学ぶんがく作家さっか・千葉ちば幹夫みきおさんが文ぶんを、発達はったつ心理学しんりがくの専門せんもん家か・渡辺わたなべ弥生やよいさんが監修かんしゅうし、ヤーコプとヴィルヘルムのグリム兄弟きょうだいが編纂へんさんした『グリム童話どうわ集しゅう』から、子こどもの心こころの成長せいちょうを真剣しんけんに考かんがえ厳選げんせんした、珠玉しゅぎょくの50篇ぺんが収録しゅうろくされています。本書ほんしょは、「思おもいやりある美うつくしい心こころを育はぐくむ」「生いきる知恵ちえと勇気ゆうきを育はぐくむ」「きずなの強つよさで乗のり越こえることを知しる」「正義せいぎと愛あいの大切たいせつさを感かんじる」「運命うんめいの不思議ふしぎを感かんじる」という5つのテーマに分わけられていて、ただの昔話むかしばなし集しゅうではなく、「今いま、この子この心こころには何なにが必要ひつようか?」を考かんがえながら選えらべる、子こどもの心こころの成長せいちょうや社会しゃかい性せい、道徳どうとく性せいの発達はったつを意識いしきした構成こうせいが最大さいだいの特徴とくちょうです。「こびととくつや」「ヘンゼルとグレーテル」「ラプンツェル」「ブレーメンの音楽おんがく隊たい」「赤あかずきん」などの定番ていばんから、少し意外いがいな「お百姓ひゃくしょうさんとあくま」まで、各かく話わを短みじかく要約ようやくして、しかも複数ふくすうの作家さっかが絵えを担当たんとうしているので、潜在せんざい的てきにも視覚しかく的てきにも飽あきさせない工夫くふうがされています。短縮たんしゅくゆえに展開てんかいが急きゅうな話はなしもありますが、それが逆ぎゃくに想像そうぞうを膨ふらませるきっかけになります。持もち運はこびやすいサイズも、日常にちじょうの親子おやこタイムを豊ゆたかにし、言葉ことばにできない子こどもの小ちいさな心こころの変化へんかを、そっと見み守まもれる瞬間しゅんかんが増ふえることでしょう。親子おやこの絆きずなを深ふかめ、かけがえのない心こころの時間じかんにしてくれる一冊いっさつです。

あらすじ

 むかしむかし、深ふかい山奥やまおくに、熊くまと狐きつねが住すんでいました。二人ふたりは非常ひじょうに仲良なかよしでしたが、熊はお人好ひとよしのため、いつも狐に騙だまされ、得とくをするのは狐でした。

 ある時とき、狐が熊に、
 「熊さん、熊さん。山やまの物ものを取とって食たべるのもいいけど、たまには二人で畑はたけを耕たがやして、何なにかを作つくって食べようよ」
と提案ていあんしました。
 「それはいい」
と熊が賛成さんせいすると、
 「熊さんは山で一番いちばんの力持ちからもちだから、畑は熊さんが作る。その代かわり、私わたしは里さとまで行いって種たねを探さがしてきます。それで出来できたものは半分はんぶんずつでいいよね」
と言いって、狐は忙いそがしそうに里へと向むかいました。

 熊は、土つちのよさそうなところを探さがして、一生懸命いっしょうけんめいに畑を耕しました。

 畑が出来た頃ころ、狐が大根だいこんと人参にんじんと長芋ながいもの種を持もって戻もどって来きました。

 そして狐は、
 「熊さん、熊さん。これが取とれたら土つちから上うえのものは、みんな熊さんにやろう。私は土の下したのものだけでいい」
と言いました。
 熊も「よかろう」と納得なっとくして、畑に種をまきました。

 やがて畑には大根と人参と山芋ができました。

 狐は約束やくそく通どおり、大根と人参と山芋の土から下にあるものをもらって帰かえりました。熊も約束通り、大根と人参との葉はっぱと長芋の茎くきをもらって帰りました。

 熊は、土から上のものである大根と人参との葉っぱと長芋の茎を、喜よろこんで食べましたが、一日いちにちも経たつと全部ぜんぶしおれて食べられなくなりました。

 一方いっぽう、狐はというと、大根と人参と長芋を料理りょうりして、美味おいしく食べました。

 二に、三日さんにちして、熊が狐の家いえに行いってみると、真まっ白しろで太ふとい大根と、真まっ赤かでうまそうな人参と、見事みごとな山芋がありました。
 熊はそれを見みて、
 「少すこし分わけてくれないか」
と狐に言うと、
 「ダメだよ。最初さいしょにちゃんと約束やくそくしたじゃないか」
と熊は狐にまくしたてられました。
 「それならば、今度こんどは狐さんが土から上のものにしよう」
と熊は言い、また畑を作り始はじめました。

 狐が今度は、瓜うりと、西瓜スイカと、南瓜カボチャの種をまきました。

 いよいよ収穫しゅうかくの時となりました。熊は約束通り土から下のものをもらって帰りました。そして狐も約束通り土から上のものをもらって帰りました。

 しかし、熊がいざ食べようとすると、どれもこれも、豚ぶたの尻尾しっぽのような茎や根ねばかりでした。さすがの熊も怒おこって狐の家に行ってみると、そこには美味しそうな瓜と、西瓜と、南瓜が、たくさんありました。

 狐はすまして、
 「『土から下の方がいい』と言ったのは熊さんじゃないか」
と言いました。
 熊は返かえす言葉ことばもありませんでした。

 それから、しばらく経たったある日ひ、
 「今日きょうは、先日せんじつの罪滅つみほろぼしにやってきました」
と狐が熊のところへやってきて、
 「蜂蜜はちみつがたっぷりある大おおきな蜂はちの巣すがあるので、一緒いっしょに取とりに行きませんか」
と狐が熊を誘さそいました。
 蜂蜜に目めがない熊は、狐と蜂の巣へ向むかいました。

 「うわ~これは美味おいしそうだ」
と言い、熊が蜂の巣を取ろうとしたら、これがミツバチの巣ではなく、クマンバチの巣でした。そして熊は体中からだじゅうをクマンバチに刺さされてしまいました。

 熊がクマンバチと格闘かくとうしているその隙すきに、狐はちゃっかりと蜂蜜だけの蜂の巣を取っていました。

 その夜よ、熊は痛いたさのあまり寝ねられず、
 「痛いよう、狐の奴やつめ、今度会あったらタダでは済すまさねぇぞ」
と夜通よどおし叫さけびました。

 心配しんぱいして、熊のところを訪たずねてきたミミズクに、痛みの訳わけを話はなすと、
 「熊さん、それはお前まえさんが狐さんに騙されたんじゃ。ワシがひとつ良よいことを教おしえてやろう」
とミミズクは言いました。

 数日後すうじつご、また狐が熊のところを訪ねてみると、熊は狐の大好物だいこうぶつである、馬うまの肉にくを食べていました。
 狐は、
 「馬の肉をどうやって手てに入いれたの」
と熊に尋たずねました。
 すると熊は、
 「まず、美味うまそうな馬に目めをつけるのじゃ。そして、その馬が眠ねむりかけたという時に、後うしろから近ちかづいて、馬の後うしろ足あしにガブッと噛かみつくんじゃ」
 続つづけて熊は、
 「馬は後ろ足が急所きゅうしょだから、そこを噛まれると死しんでしまう。死んだところで、私が狐さんの家まで馬を運はこんであげよう」
と言いました。

 そうして二人は原はらっぱへと向かいました。そこにはたくさんの馬が草くさを食べていました。狐は馬の肉が食べたい一心いっしんで、とびきり大きな馬の後ろ足に噛みつきました。

 驚おどろいた馬は、思おもい切きり狐を蹴飛けとばしました。

 そして、狐はどこかへ飛とんで行いってしまいました。

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解説

 日本にっぽんの昔話むかしばなしでは勿論もちろんのこと、古代こだいギリシャの説話集せつわしゅう『イソップ寓話ぐうわ』でもキツネがズル賢がしこい動物どうぶつの代名詞だいめいしとして、頻繁ひんぱんに登場とうじょうしては悪事あくじのかぎりを尽つくしています。

 では、なぜキツネはずる賢くて、嫌味いやみな生いき物ものにされたのでしょうか。

 キツネが人間にんげんに忌いみ嫌きらわれる原因げんいんは、家畜かちくを襲おそう動物どうぶつということに尽きます。そして、家畜を襲う方法ほうほうに、他ほかの家畜を襲う動物とは違ちがう、キツネのずる賢さを想起そうきさせる習性しゅうせいがあるからです。

 例たとえば、養鶏ようけい農家のうかが朝起あさおきて鶏小屋とりごやへ行いくと、大おおきな穴あなが掘ほられていて、小屋こやの中なかは鶏とりの羽根はねが散乱さんらんし、鶏も卵たまごも消きえている惨事さんじを見みて、キツネの仕業しわざと農家のうかは地団太じだんだを踏ふむしかありません。

 これは、キツネの夜行性やこうせいという習性によるものですが、昔むかしの人ひとたちにとっては、人間が寝静ねしずまった時ときを見計みはからって、鶏小屋を襲おそうという用意ようい周到しゅうとうな動物どうぶつにキツネは映うつったのでしょう。

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 『イソップ寓話集ぐうわしゅう (クラシックイラストレーション版ばん)』は童話館出版どうわかんしゅっぱんから出版しゅっぱんされています。何千年なんぜんねんと語かたり継つがれてきたお話はなしは示唆しさに富とんでいて飽あきません。そこに過去かこ150年間ねんかんにイギリス、ヨーロッパ、アメリカで出版された素晴すばらしい挿絵さしえの傑作けっさくが加くわることで、さらに物語ものがたりの魅力みりょくが増ましています。何百なんびゃくもあるお話の中なかから精選せいせんした46篇ぺんが収録しゅうろくされています。

感想

 「因果応報いんがおうほう」という言葉ことばがあります。これは仏教ぶっきょうの教おしえを表あらわす言葉で、原因げんいんとしての善よい行おこないをすれば善い結果けっかが得えられ、悪わるい行いには悪い結果をもたらすという意味いみです。

 では、幸福こうふくや不幸ふこうという「運命うんめい」を決きめる「原因げんいん」は、一体いったい何なんでしょうか。

 仏教では、それは「行おこない」と教おしえています。

 自分じぶんのやった「行い」が自分の「運命」を作つくるということです。

 仏教では、「行い」に応おうじて「運命」は決きまると教えているので、「善い行い」から「悪い運命」が現れることもなければ、「悪い行い」から「善い運命」が現あらわれることもありません。

 昨今さっこんでは「正直者しょうじきものが馬鹿ばかを見みる」と言いわれる世よの中なかですが、それは一見いっけんすると例外れいがいのように感かんじますが、これも長期的ちょうきてきにみると、すべて「善因善果ぜんいんぜんか」「悪因悪果あくいんあっか」にしかならないということです。

 因果応報は、すぐに結果が出でるとは限かぎりません。しかし、蒔まいた種たねはかならず生はえます。善い種を蒔くことに努つとめ、悪い種は蒔かないよう心掛こころがけていきましょう。

まんが日本昔ばなし

『熊くまと狐きつね』
放送日: 昭和51年(1976年)06月19日
放送回: 第0063話(第0037回放送 Bパート)
語り: 常田富士男・(市原悦子)
出典: 表記なし
演出: 坂本雄作
文芸: 坂本雄作
美術: 坂本雄作(ジャック)
作画: 坂本雄作
典型: 因果応報譚いんがおうほうたん・動物昔話どうぶつむかしばなし
地域: 中国地方

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 かつてテレビで一大いちだいブームを作つくった『まんが日本にっぽん昔むかしばなし』の中なかから傑作けっさく101話わを厳選げんせんした書籍しょせきの分冊ぶんさつ版ばんは講談社こうだんしゃより出版しゅっぱんされています。『熊くまと狐きつね』が収録しゅうろくされています。

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 『熊くまと狐きつね』は未みDVD化かのため「VHS-BOX第だい4集しゅう 第だい37巻かん」で観みることができます。

最後に

 今回こんかいは、『熊くまと狐きつね』のあらすじと解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 『熊くまと狐きつね』は、善よい行おこないをすれば善い結果けっかが得えられ、悪わるい行いをすれば悪い結果をもたらすという内容ないようの物語ものがたりです。ぜひ触ふれてみてください!

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