昔話『舌切り雀』のあらすじ・内容解説・感想|おすすめ絵本
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 『舌した切きり雀すずめ』は、糊のりをなめたことに腹はらを立たてたお婆ばあさんが、心こころやさしいお爺じいさんが可愛かわいがっていた雀すずめの舌したを切きって追おい出だします。雀の身みを案あんじ、お爺さんは山奥やまおくまで雀のお宿やどを捜さがして訪たずねて行いきます。

 今回こんかいは、『舌切り雀』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

概要

 『舌した切きり雀すずめ』は、鎌倉時代前期かまくらじだいぜんき(建暦けんりゃく2年ねん~承久じょうきゅう3年(1212~1221年))に成立せいりつしたと推定すいていされる『宇治拾遺物語うじしゅういものがたり』に「腰折雀こしおれすずめ」として収載しゅうさいされています。

 通称つうしょう “赤本あかほん”と呼よばれ、寛文かんぶん2年(1662年)ごろに発生はっせいした幼童ようどう向むけ絵本えほんの最初期さいしょきの草双紙くさぞうしに『したきれ雀すずめ』として登場とうじょうし、江戸時代えどじだいの五大昔話ごだいむかしばなしの一ひとつに数かぞえられ、明治時代以後めいじじだいいこうも絵本や読よみ物もので広ひろく親したしまれています。

 また、昭和しょうわ22年(1947年)には音楽教科書おんがくきょうかしょ『一いちねんせいのおんがく』に「すずめのおやど」という題名だいめいで掲載けいさいされたことで、童謡どうようとしても親しまれています。

 太宰治だざいおさむも昭和20年(1945年)に筑摩書房ちくましょぼうより発行はっこうした『お伽草紙とぎぞうし』に「舌切雀」を収録しゅうろくしています。

 絵本えほん『したきりすずめ (むかしむかし絵本 16)』は、ポプラ社しゃより出版しゅっぱんされています。松谷まつたにみよ子こさんによるリズミカルな語かたりと村上むらかみ幸一こういちさんの魅力みりょくあふれる絵えは、耳みみにも目めにも幸しあわせが満みちる絵本えほんです。

 絵本えほん『したきりすずめ (日本にっぽん傑作けっさく絵本えほんシリーズ)』は、福音館ふくいんかん書店しょてんより出版しゅっぱんされています。石井いしい桃子ももこさんによる文章ぶんしょうは言葉ことばがとても丁寧ていねいで美うつくしい日本語にっぽんごです。そこに赤羽あかば末吉すえきちさんの味あじのある落おち着ついた雰囲気ふんいきの絵えが絡からむ、素晴すばらしい絵本えほんです。

 『舌した切きりすずめ (語かたりつぎたい日本にっぽんの昔むかし話ばなし)』は、小峰こみね書店こみねより出版しゅっぱんされています。口承こうしょう文芸ぶんげい学者がくしゃの小澤おざわ俊夫としお先生せんせいが監修かんしゅうした読よみ物ものです。子こどもの頃ころ、夢中むちゅうになった昔むかし話ばなしが47篇へん収載しゅうさいされています。

 講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこより出版しゅっぱんされている『宇治うじ拾遺しゅうい物語ものがたり』は、原文げんぶんと現代語訳げんだいごやく、解説かいせつが全話ぜんわ収載しゅうさいされています。

 『宇治うじ拾遺しゅういものがたり』は、岩波いわなみ少年しょうねん文庫ぶんこから出版しゅっぱんされています。昔むかしも今いまも変かわらない人ひとの心こころのふしぎさを描えがいた一冊いっさつです。現代語訳げんだいごやくのみを収載しゅうさいしたことで、古文こぶんが苦手にがてな人ひとでも物語ものがたりの展開てんかいを知しることができます。

 現在げんざい、太宰治だざいおさむの『お伽とぎ草紙ぞうし』は、新潮しんちょう文庫ぶんこから出版しゅっぱんされています。「舌切したきり雀すずめ」以外いがいに「こぶとり爺じいさん」「浦島太郎うらしまたろう」「カチカチ山やま」が収録しゅうろくされています。

あらすじ

 むかしむかし、あるところに心こころの優やさしいお爺じいさんと欲張よくばりで意地悪いじわるなお婆ばあさんがいました。

 ある日ひ、お爺さんはケガをした一羽いちわの雀すずめを見みつけたので家いえに連つれて帰かえり手当てあてをしました。山やまへ返かえそうとしましたが、雀がお爺さんにすっかり懐なついたので、おちょんという名前なまえをつけて育そだてることにしました。

 しかし、お婆さんはお爺さんが雀を可愛かわいがっているのが気きに入いらなかったのです。

 お爺さんが出でかけたある日、おちょんがお婆さんの作つくった糊のりを食たべてしまいました。

 怒おこったお婆さんは、
 「悪わるさをしたのはこの舌したか」
とおちょんの舌をハサミで切きってしまいました。

 おちょんは泣なきながらどこかへ飛とんでいってしまいました。

 帰かえってきてそのことを聞きいたおじいさんは慌あわてて、おちょんを探さがしに山へ出かけると、竹たけやぶの奥おくに雀のお宿やどがあり、中なかからおちょんが出てきて、お爺さんを招まねき入いれてくれました。

 おちょんは美味おいしいご馳走ちそうや歌うたと踊おどりで、お爺さんをもてなしました。

 お爺さんが帰ろうとすると、お土産みやげとして大おおきな葛籠つづらと小ちいさな葛籠が用意よういされていて、どちらか好すきな方ほうを持もっていくようにと言われました。

 お爺さんが小さな葛籠を選えらぶと、
 「家に着つくまで決けっして開あけないように」
と雀たちから言いわれました。

 家に帰って葛籠を開けてみると、中なかからたくさんの宝物たからものが出でてきました。

 欲張りなお婆さんは、大きな葛籠にはもっとたくさんの宝物が入っているに違ちがいないと、雀のお宿に押おしかけ、大きな葛籠を強引ごういんに受うけ取とり帰りました。

 雀たちからは、
 「家に着くまで決して開けないように」
と言われていましたが、待まちきれずに帰り道みちで開けてみると、中から魑魅魍魎ちみもうりょうや虫むしや蛇へびが現あらわれました。

 お婆さんはびっくりして山道やまみちを逃にげるように家へ帰りました。

解説

 『舌した切きり雀すずめ』は、日本人にっぽんじんなら誰だれもが一度いちどは聞きいたことのある有名ゆうめいな民話みんわではないでしょうか。

 しかし、古ふるくは相当そうとうに残酷ざんぎゃくで過激かげきな表現ひょうげんが多おおいことから、現代げんだいに伝つたわるものは、明治時代以後めいじじだいいこうに子こどもが読よめるように改定かいていされ、無難ぶなんな内容ないように落おち着つきました。

 最近さいきんでは、しばしば説教調せっきょうちょうで教訓的きょうくんてきと非難ひなんされる昔むかしばなしですが、“善ぜん”を奨すすめるだけではなく、“悪あく”とは何なにかを教おしえることが、実じつは昔ばなしの最大さいだいの魅力みりょくであり大切たいせつな役目やくめではないでしょうか。

感想

 “嫉妬しっと”は、「自分じぶんの大切たいせつなものを他たに奪うばわれるのではないか」という気持きもちに由来ゆらいします。とてもやっかいで複雑ふくざつな感情かんじょうです。

 さて、『舌した切きり雀すずめ』で感かんじることは、お婆ばあさんはお爺じいさんから大切たいせつにされていたということです。

 もし、お爺さんが乱暴者らんぼうものだったら、晩年ばんねんのお婆さんは卑屈ひくつになっていたはずです。しかし、お婆さんは意地悪いじわるで欲張よくばりで傲慢ごうまんです。このような性格せいかくになってしまったのは、お爺さんがお婆さんを長年ながねんにわたって甘あまやかしたからでしょう。多少たしょうのワガママを言いわれたとしても、お爺さんはお婆さんのすべてを優やさしく包つつみ込こみ、二人ふたりは仲睦なかむつまじく生活せいかつしていたと想像そうぞうします。そんな二人の平和へいわな世界せかいに突如とつじょ現あらわれたのが雀すずめでした。お婆さんの心こころは掻かき乱みだれたに違ちがいありません。それは、今いままで自分だけを大切たいせつにしてくれていた人ひとが、雀という別べつのものに優やさししく接せっするのだから、嫉妬の炎ほのおに身みを焦こがされたことでしょう。

 女性じょせいなら誰だれしも、年齢ねんれいを重かさねると何なんとなく焦あせりや不安ふあんを感かんじるものです。ここに嫉妬が加くわわると、とてつもなく残酷な行為こういを行おこなうようになります。

 嫉妬に狂くるったお婆さんは、「糊のりを食たべた」ことに対たいする罰ばつとして、雀の舌をハサミで切ってしまいます。しかしそれは名目上めいもくじょうであり、実際じっさいは、自分の平和へいわな世界せかいを奪うばおうとする侵略者しんりゃくしゃへの攻撃こうげきでした。そして、雀は侵略者ですから、お婆さんはそこから財宝ざいほうを奪うばうことに遠慮えんりょやためらいはありません。雀のお宿やどから大きな葛籠つづらを持もち帰かえるのも当あたり前まえの行動こうどうです。その結果けっか、酷ひどい目めに遭あうことになります。

 この物語ものがたりの結末けつまつは、嫉妬により行動したお婆さんの業ごうの哀かなしさがよく表現ひょうげんされています。つまり、『舌切り雀』は極端きょくたんな行動に走はしってしまったがために起おきた、女おんなの悲劇ひげきの物語だということです。

まんが日本昔ばなし

『舌した切きり雀すずめ』
放送日: 昭和50年(1975年)01月14日
放送回: 第0004話(第0002回放送 Bパート)
語り: 市原悦子・(常田富士男)
出典: 表記なし
演出: りんたろう
脚本: 沖島勲
美術: 椋尾篁
作画: 矢沢則夫
典型: 隣となりの爺じじ型がた・異郷訪問譚いきょうほうもんたん・動物報恩譚どうぶつほうおんたん・雀譚すずめたん
地域: 中部地方(石川県)

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最後に

 今回こんかいは、『舌した切きり雀すずめ』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 最近さいきんでは、舌したを切きるところが残虐ざんぎゃくだということで、あまり『舌切り雀』は子こどもには見みせないそうです。しかし、動物愛護どうぶつあいごの心こころや人ひとをむやみに妬ねたんではいけないなど、現代げんだいにも通つうじる教訓きょうくんが含ふくまれています。ぜひ触ふれてみてください!

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