昔話『こぶとり爺さん』のあらすじ・内容解説・感想|おすすめ絵本
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 『こぶとり爺じいさん』は、頬ほほに大おおきなこぶを持もつ二人ふたりのお爺じいさんが、連夜れんやで鬼おにの宴うたげに参加さんかし、正直しょうじきなお爺じいさんは鬼おにに質草しちぐさとして頬ほほのこぶを取とられるが、意地いじ悪わるなお爺じいさんは逆ぎゃくにこぶを増ふやされるという内容ないようで、日本人にっぽんじんなら誰だれもが一度いちどは聞きいたことのある有名ゆうめいな民話みんわです。

 今回こんかいは、『こぶとり爺じいさん』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

概要

こぶじいさま 昔むかし話ばなしとして広ひろく知しられている『こぶとり爺じいさん』の舞台ぶたいは、東北とうほく地方ちほうに位置いちする岩手県いわてけんの上閉伊郡かみへいぐんといわれていますが定さだかではありません。

 『こぶとり爺さん』は、鎌倉かまくら時代じだい前期ぜんきの建暦けんりゃく2年ねん~承久じょうきゅう3年ねん(1212~1221年ねん)に成立せいりつが推定すいていされる日本にっぽんの説話せつわ物語ものがたり集しゅう『宇治うじ拾遺しゅうい物語ものがたり』巻一まきのいちの第だい三さん話わに、樵きこりが「鬼おにに瘤こぶ取とらるる事こと(鬼おににこぶとらるゝ事こと)」として収載しゅうさいされています。

 日本にっぽん各地かくちに広ひろく伝つたわる民話にんわで、二人ふたりのお爺じいさんが連夜れんやで鬼おにの宴うたげに参加さんかし、最初さいしょに参加さんかしたお爺じいさんはこぶを取とられ、翌日よくじつに参加さんかしたお爺じいささんは逆ぎゃくにこぶを増ふややされるのが典型的てんけいてきな話型わけいです。

しかし、様々さまざまな類型るいけいが日本にっぽん各地かくちに存在そんざいし、物語ものがたりの内容ないようも様々さまざまです。

 昭和しょうわ20年ねん(1945年ねん)に筑摩書房ちくましょぼうより刊行かんこうされた太宰治だざいおさむの短編たんぺん小説しょうせつ集しゅう『お伽草紙とぎぞうし』の「瘤こぶ取とり」は、阿波国あわのくに(現在げんざいの四国しこく地方ちほうに位置いちする徳島県とくしまけん)の剣山つるぎさんの麓ふもとの設定せっていで書かかれています。

 絵本えほん『こぶじいさま』は、福音館書店ふくいんかんしょてんから出版しゅっぱんされています。松居直まついただしさんによる質しつの高たかい文ぶんと、『宇治うじ拾遺しゅうい物語ものがたり』の「鬼おににこぶとらるゝ事こと」を参考さんこうに描えがかれた赤羽末吉あかばすえきちさんの絵えには、日本にっぽんの昔話むかしばなしにふさわしい和風わふうの美うつくしさがあります。絵えを読よもうとする子こどもだけではなく、大人おとなが読よんでも楽たのしい、愛あいを感かんじる一冊いっさつです。

 絵本えほん『こぶとりじいさん (日本にっぽん名作めいさくおはなし絵本えほん)』は、小学館しょうがくかんから出版しゅっぱんされています。市川宣子いちかわのぶこさんの分わかりやすい文ぶんと、石井聖岳いしいきよたかさんの色いろも鮮あざやかな躍動感やくどうかんある絵えが楽たのしく、物語ものがたりの世界せかいに引ひき込こまれます。思おもわず踊おどり出だしたくなる一冊いっさつです。

 『こぶとり爺じいさん・かちかち山やま』は、岩波文庫いわなみぶんこから出版しゅっぱんされています。じっくりと読よみ進すすめることで、多面性ためんせいと意外性いがいせい、そして物語ものがたりの魅力みりょくを味あじわうことができる大人おとなが読む昔話むかしばなしです。

 『宇治うじ拾遺しゅうい物語ものがたり』は、講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこから出版しゅっぱんされています。上巻じょうかんに収録しゅうろくされている104篇ぺんすべてに、原文げんぶんと現代げんだい語訳ごやく、解説かいせつがついています。とにかく、詳くわしすぎる注釈ちゅうしゃくにより、止とまらなくなるほどドンドンと物語ものがたりを読よみ進すすめることができます。「舌した切きり雀すずめ」「瘤こぶ取とりの話はなし」「芋いもがゆ」など、現代げんだいに伝つたわる物語ものがたりをじっくり読よむことができる一冊いっさつです。

 『宇治うじ拾遺しゅういものがたり』は、岩波いわなみ少年しょうねん文庫ぶんこから出版しゅっぱんされています。昔むかしも今いまも変かわらない人ひとの心こころのふしぎさを描えがいた一冊いっさつです。現代げんだい語訳ごやくのみを収載しゅうさいしたことで、古文こぶんが苦手にがてな人ひとでも物語ものがたりの展開てんかいを知しることができます。

 現在げんざい、太宰治だざいおさむの『お伽草紙とぎぞうし』は、新潮文庫しんちょうぶんこから出版しゅっぱんされています。「こぶとり爺じいさん」以外いがいに「浦島太郎うらしまたろう」「カチカチ山やま」「舌した切きり雀すずめ」が収録しゅうろくされています。

あらすじ

 むかしむかし、ある所ところに右みぎの頬ほほに大おおきなこぶを持もった正直しょうじきなお爺じいさんと、左ひだりの頬に大きなこぶを持った意地悪いじわるなお爺さんがいました。

 ある日ひ、正直お爺さんが山やまへ木きを切きりに行いくと嵐あらしに遭あい、家いえに帰かれなくなってしまいました。

 大きな木で雨宿あまやどりをしていると、山の上うえから大勢おおぜいでがやがや騒さわぎながら降おりてくる声こえが聞きこえてきました。

 ひとりぼっちで寂さびしかったお爺さんは木の陰かげから行列ぎょうれつを覗のぞいてみると、そこには鬼おにがぞろぞろ歩あるいていました。

 やがて、鬼たちは宴会えんかいを始はじめました。

 鬼の宴会の楽たのしそうな様子ようすを見みたお爺さんは我慢がまんできず、一緒いっしょになって踊おどりました。

 すると、鬼たちに気きに入いられ、
 「また明日あすも来くるように、それまでこれを預あずかっておく」
と言いって顔かおのこぶをもぎ取とりました。

 この話はなしを隣となりに住すむ左の頬に大きなこぶのある意地悪なお爺さんに伝つたえると、今度こんどは意地悪なお爺さんが代かわりに鬼の宴会に行いきました。

 しかし、意地悪お爺さんは踊りが下手へたで鬼を怒おこらせてしまい、昨日きのうもぎ取って預かっていたこぶを、右の頬にくっつけられてしまいました。

 正直お爺さんはこぶがなくなり、意地悪お爺さんは両方りょうほうの頬にこぶをつけて一生いっしょうを過すごすことになりました。

解説

 『宇治拾遺物語うじしゅういものがたり』の「鬼おににこぶとらるゝ事こと」に登場とうじょうするお爺じいさんたちは、踊おどりが得意とくいか苦手にがてかの記述きじゅつはありますが、それぞれの性格せいかくにまでは記しるされてはいません。

 現在げんざい、広ひろく知しられている『こぶとり爺じいさん』では、なぜか最初さいしょに登場とうじょうする右みぎの頬ほほにこぶのあるお爺さんは正直しょうじきで陽気ようきであり、次つぎに登場する左ひだりの頬にこぶのあるお爺さんは意地悪いじわるであるとされています。

 この変遷へんせんは定さだかではありませんが、『こぶとり爺さん』は「隣となりの爺じじ型がた民話みんわ」という類型るいけいに分類ぶんるいされます。これは『舌切したきり雀すずめ』や『花咲はなさか爺じいさん』と同おなじ類型です。もしかしたら時代じだいが進すすむにつれて他たのお話はなしと同じ様ような「隣となりのお爺じいさんは意地悪いじわる」という設定せっていに変かわっていったのかもしれません。

感想

 『宇治拾遺物語うじしゅういものがたり』に収載しゅうさいされている「こぶとり爺じいさん」の締しめくくりは、「ものうらやみはせまじきことなりとか(ものうらやみをしてはいけない)」と羨望せんぼうを戒いましめる言葉ことばで結むすばれています。つまり、この昔むかしばなしからは「人ひとを羨うらやまずに、身みの丈たけに合あった行動こうどうをしなさい」ということが推察すいさつできます。

 「隣となりの芝生しばふは青あおく見みえる」ということわざがありますが、これは嫉妬心しっとしんから起おこるものです。嫉妬しっとという感情かんじょうは誰だれもが身みに覚おぼえのあるものでしょう。嫉妬とは「他者たしゃの快感かいかんや快適かいてきさに対たいする怒いかり」です。他人たにんが自分じぶんより少すこしでも良よい思おもいをしていることが気きに入いらないということです。

 嫉妬の感情かんじょうはどこからくるのでしょうか。「他者たしゃの利益りえきは自分じぶんの損そん」ということでしょうか。しかし、よくよく考かんがえてみると、この2つには何なんの関係性かんけいせいもありません。でも、そこに関係性を見出みいそうとしてしまうのが人間にんげんの心こころの働はたらきです。人間は欲深よくぶかい生いき物ものです。自分が一番いちばん得とくをしたいと思っています。だから、他人の取とり分ぶんを少すくなくすれば、自分の取り分が大おおきくなるかもしれないと考かんがえてしまうのです。

 嫉妬を野放のばなしにしていることは、自分の生いきる喜よろこびを減へらしていることだと知しりましょう。それは、嫉妬心が強つよいと、周囲しゅういの人ひとが成功せいこうするたびに嫌いやな気持きもちになり、自分自身じぶんじしんが苦くるしむことになるからです。他人に嫉妬することは自分を不幸ふこうにするだけです。嫉妬という感情を乗のり越こえた時とき、人には自己克服感じここくふくかんが生うまれます。

まんが日本昔ばなし

『こぶとり爺じいさん』
放送日: 昭和50年(1975年)01月07日
放送回: 第0001話(第0001回放送 Aパート)
語り: 市原悦子・常田富士男
出典: 表記なし
演出: 彦根のりお
脚本: 平見修二
美術: 彦根まふみ
作画: K・S・R(K=座間喜代美・S=池田志津子・R=斉藤礼子)
典型: 隣となりの爺じじ型がた
地域: 東北地方

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最後に

 今回こんかいは、『こぶとり爺じいさん』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 『こぶとり爺じいさん』は、お爺じいさんが、鬼おにに質草しちぐさとして“こぶ”を取とられる民話みんわで、「人ひとを羨うらやんではいけない」ということを隣となりの意地いじ悪わるなお爺じいさんを反面はんめん教師きょうしにして、得えた教訓きょうくんを面白おもしろおかしく伝つたえています。ぜひ触ふれてみてください!

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