昔話『塩ふきうす』のあらすじ・解説・感想|おすすめ絵本
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 『塩しおふきうす』は、「海うみの水みずがなぜ塩しお辛からいのか」という素朴そぼくな疑問ぎもんを解消かいしょうしながら、巧たくみに因果いんが応報おうほうの物語ものがたりと結むすびつけた民話みんわです。

 今回こんかいは、『塩しおふきうす』のあらすじと解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

概要

しおふきうす 日本の民話えほん 香山美子 太田大八 教育画劇 大正たいしょう10年ねん(1921年)の7月がつに實業じつぎょう之の日本にほん社しゃより発行はっこうされた『子供こどもの聞ききたがる新しん知識ちしきの庫くら』に、「海うみの水みずは何故なぜ塩しお辛からいのでせう?」という項目こうもくがあり、この「塩しおふきうす」と同おなじ内容ないようのお話はなしが掲載けいさいされています。

 作者さくしゃは大正たいしょう~昭和しょうわ時代じだいの小説しょうせつ家かで文壇ぶんだんの寵児ちょうじと呼よばれた三上みかみ於菟吉おときちです。

 この本ほんの前書まえがきには、三上みかみが西洋せいようの本ほんである『西洋せいようの学者がくしゃが西洋せいようの子供こどものために、知しってゐなくてはならないことをくはしく書かいた結構けっこうな問題もんだい書しょ』を翻訳ほんやくしたと記しるされているので、もしかしたら「塩しおふきうす」の原点げんてんは西洋せいようの民話みんわにあるのかもしれません。

 絵本えほん『しおふきうす (日本にっぽんの民話みんわえほん)』は教育きょういく画が劇げきから出版しゅっぱんされています。香山こうやま美子よしこさんによる昔むかし話ばなしらしい要素ようそをふんだんに取とり入いれた文ぶんと太田おおた大八だいはちさんによる楽たのしい絵えにより、「海うみの水みずはなぜ塩しお辛からいのか」という謎なぞ解ときが、「もしかしたら、そうかもしれない」と妙みょうに納得なっとくさせられてしまう絵本えほんです。

 絵本えほん『しおふきうす (てのひらむかしばなし)』は岩波みいわなみ書店しょてんから出版しゅっぱんされています。長谷川はせがわ摂子せつこさんの文ぶんは善悪ぜんあくがとてもわかりやすく書かかれていて、また立花たちばなまことさんによる細部さいぶまで丁寧ていねいに描えがかれた日本画にほんが風ふうの絵えが粋いきです。「海うみの水みずはなぜ塩しお辛からいのか」を語かたる楽たのしい絵本えほんです。

 現在げんざいは、新潮しんちょう文庫ぶんこより出版されている『日本にっぽんの昔むかし話ばなし』は、日本人にっぽんじんが育はぐくんできた昔むかし話ばなしの数々かずかずを、民俗みんぞく学者がくしゃの柳田やなぎた國男くにお先生せんせいが各地かくちから集あつめて美うつくしい日本語にほんごで後世こうせいに残のこそうとした名著めいちょです。

あらすじ

 むかしむかし、あるところに百姓ひゃくしょうの兄弟きょうだいがおりました。兄あには欲張よくばりで大おおきな家いえに住すみ、弟おとうとは正直者しょうじきものですがとても貧乏びんぼうでした。

 ある年としの暮くれ、弟は米こめと味噌みそを借かりに兄の家に行いきましたが、欲張りな兄は貸かしてくれませんでした。

 仕方しかたなくとぼとぼ歩あるいていると、老人ろうじんが声こえをかけてきました。

 その老人は、弟にこの先さきの洞穴ほらあなに行って石いしでできた動うごくものを持もってくるようにと言いいました。

 弟は言われるままにそこへ向むかい、祠ほこらのそばの暗くらい洞穴に入はいると、石臼いしうすがあったのでそれを持って老人のところへ帰かえりました。

 すると老人は、
 「それは何なんでも欲ほしいものが出でてくる石臼です。右みぎに回まわすと欲しいものが出て、左ひだりに回すと止とまる」
と言って姿すがたを消けしました。

 弟はからかわれているのだろうと思おもいつつ、石臼を家に持ち帰り、さっそく
 「米こめ、出ろ」
と言って石臼を右に回すと、老人が言った通とおり米が次つぎから次へと出てきました。

 こうして弟は裕福ゆうふくな長者ちょうじゃになり、他たの貧まずしい人ひとたちにも石臼から出たものを分わけ与あたえました。

 弟が急きゅうに長者になったことに不思議ふしぎに思った兄は、石臼のことを知しりそれを盗ぬすみ出し、船ふねに乗のって海うみの向むこうの国くにで大金持おおがねもちになろうと企たくらみました。

 弟の家から持ってきた饅頭まんじゅうを食たべた後あと、塩しおが欲しくなり、さっそく石臼を回して塩を出したのですが、止め方かたを知らなかったので、塩が次から次へと出てきて、ついに船は塩の重おもさで沈しずんでしまいました。

 今でも石臼は海の底そこで塩を出し続つづけているそうです。

解説

 『古事記こじき』に登場とうじょうする「海幸彦うみさちひこと山幸彦やまさちひこ」のお話はなしとの関連性かんれんせいが指摘してきされる『塩しおふきうす』ですが、民俗学者みんぞくがくしゃの柳田國男やなぎたくにおは、ペテル・クリスティン・アスビョルンセンとヨルゲン・モーよる『ノルウェー民話集みんわしゅう』に収集しゅうしゅうされた「海うみの底そこの臼うす」が原点げんてんであり、それが外国語訳がいこくごやくの本ほんを経へて流入りゅうにゅうされ、日本中にっぽんじゅうに広ひろまったとしています。

 また、内容ないように多少たしょうの異同いどうはありますが類話るいわは日本全国にっぽんぜんこくに分布ぶんぷし、アジアをはじめヨーロッパの諸国しょこくなど海外かいがいでもみられます。中国民話ちゅうごくみんわ『水みずの母はは』とドイツのグリム童話どうわ『おいしいおかゆ』が『塩ふきうす』の類話としては特とくに有名ゆうめいです。

 ペテル・クリスティン・アスビョルンセンの『太陽たいようの東ひがし 月つきの西にし』は岩波書店みいわなみしょてんから出版しゅっぱんされています。「海うみの水みずはなぜからい」をはじめ、山やまと森もりと湖みずうみの国くにノルウェーに伝つたわる楽たのしい民話みんわが18篇ぺん収録しゅうろくされています。

感想

 誰だれでも子こどものころ、一度いちどは不思議ふしぎに思おもう「海うみの水みずがなぜ塩辛しおからいのか」という素朴そぼくな疑問ぎもんを、巧たくみに因果応報いんがおうほうの物語ものがたりと結むすびつけたお話はなしが『塩しおふきうす』です。

 ちなみに、海の水のしょっぱさの正体しょうたいは、塩素えんそとナトリウムが結びついた塩化えんかナトリウム、つまり「塩しお」です。

 塩化ナトリウムは食塩しょくえんの主成分しゅせいぶんで、海水かいすいからつくった塩は古ふるくから食用しょくようにされてきました。海水の塩分濃度えんぶんのうどは3.5パーセントなので、海でうっかり海水を飲のめば、十中八九じゅっちゅうはっく咳せき込こんでしまうほど塩辛いことがわかります。

 では、なぜ海水に大量たいりょうの塩化ナトリウムが含ふくまれているのでしょうか。これには二ふたつの説せつが有力ゆうりょくとされています。

 ひとつは46億年前おくねんまえの地球ちきゅうに海ができた直後ちょくごからしょっぱかったという説で、もうひとつが27億年前の地球に陸りくができてから徐々じょじょにしょっぱくなったという説です。

 つまり、海水の強烈きょうれつな塩辛さは、地球が歩あゆんできた46億年の歴史れきしの積つみ重かさねということです。

 『人類じんるいなら知しっておきたい 地球ちきゅうの雑学ざつがく』はKADOKAWAから出版しゅっぱんされています。地球ちきゅうの雑学ざつがくとは、すなわち地球上ちきゅうじょうにある全すべての情報じょうほうということです。動植物どうしょくぶつ、天体てんたい(太陽系たいようけい)、人体じんたい、天気てんき、元素げんそ、科学史かがくしなど多岐たきにわたる“理系りけいのウンチク”が満載まんさいなので、職場しょくばや家庭かていで日々ひびの雑談ざつだんに役立やくだつこと間違まちがいなし。理系りけいジャンルの雑学ざつがくを存分ぞんぶんに楽たのしめる必読ひつどくの一冊いっさつです。

まんが日本昔ばなし

『塩しおふきうす』
放送日: 昭和50年(1975年) 03月18日
放送回: 第0022話(第0011回放送 Bパート)
語り: 市原悦子・(常田富士男)
出典: 表記なし
演出: 内田好之
脚本: 平見修二
美術: 内田好之
作画: 遠藤克巳
典型: 宝物譚ほうもつたん・由来譚ゆらいたん
地域: 東北地方(岩手県)

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最後に

 今回こんかいは、『塩しおふきうす』のあらすじと解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 『塩ふきうす』は、何なんでも欲ほしいものが出でてくる不思議ふしぎな臼うすが、今いまも海底かいていで回まわり続つづけているので海うみの水みずは塩辛しおからいと語かたる民話みんわです。ぜひ触ふれてみてください!

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