昔話『お月さん金の鎖』のあらすじ・内容解説・感想|おすすめ絵本
※当サイトのリンクには広告を含む場合があります

 人間にんげんが人生じんせいで経験けいけんし得える最もっともすばらしい人間にんげん関係かんけいは、愛あいに満みちた家族かぞくの中なかにあります。家族かぞく愛あい、親子おやこ愛あい、兄弟きょうだい(姉妹しまい)愛あい、永遠えいえんに変かわらぬ家族かぞくの大切たいせつさを説といたお話はなしが『お月つきさん金きんの鎖くさり』です。

 今回こんかいは、『お月つきさん金きんの鎖くさり』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

概要

 『お月つきさん金きんの鎖くさり』は、東北とうほく地方ちほうから九州きゅうしゅう地方ちほう、さらに南西なんせい諸島しょとうまで日本にっぽん各地かくちに広ひろく分布ぶんぷします。

 特とくに、九州きゅうしゅう地方ちほうなど日本にっぽん列島れっとうの南部なんぶの地域ちいきに数かず多おおく似にたお話はなしが存在そんざいします。

 あらすじには、その土地とちごとに若干じゃっかんの差異さいがありますが、典型てんけい的てきな内容ないようは、限かぎりなく深ふかい母親ははおやの愛情あいじょうと兄弟きょうだい愛あいを描えがいているため、心こころに哀かなしみが残のこります。

 絵本えほん『天てんのかみさま金かねんつなください (こどものとも絵本えほん)』は、福音館ふくいんかん書店しょてんから出版しゅっぱんされています。津谷つやタズ子こさんによる東北とうほくなまりの文ぶんが、梶山かじやま俊夫としおさんの絵えに引ひっ張ぱられて、終始しゅうしハラハラドキドキの絵本えほんです。三人さんにん兄弟きょうだいの絆きずなと親子おやこの愛情あいじょうがあれば、どんな化ばけ物ものにも負まけないと説といている一冊いっさつです。

 絵本えほん『おそばのくきはなぜあかい (岩波いわなみの子こどもの本ほん)』は、岩波いわなみ書店しょてんから出版しゅっぱんされています。石井いしい桃子ももこさんの読よみやすい文ぶんと、初山はつやま滋しげるさんの美うつくしい幻想げんそう的てきな絵えによる夢ゆめのある内容ないように、とにかく心こころが豊ゆたかになります。「おそばのくきはなぜあかい」の他ほか、「おししのくびはなぜあかい」と「うみのみずはなぜからい」の“なぜ”にまつわる昔話むかしばなしが3篇ぺん収録しゅうろくされています。
※山姥やまんばの流ながした血ちとは違ちがう内容ないようの由来ゆらい話ばなしが収録しゅうろくされています

 『子こどもに語かたる 日本にっぽんの昔むかし話ばなし 2』は、こぐま社しゃから出版しゅっぱんされています。数かずある日本にっぽんの昔むかし話ばなしの中なかから、「花咲はなさかじい」をはじめ「浦島太郎うらしまたろう」「三枚さんまいのお札ふだ」「天てんとうさん金きんのくさり」など、子こどもが喜よろこぶお話はなしが厳選げんせんされ全ぜん23篇ぺん収録しゅうろくされています。方言ほうげんの味あじわいを適度てきどに残のこしながら、聞きいていてもわかりやすい言葉ことばで、日本人にっぽんじんの心こころの奥おくの豊ゆたかな世界せかいを紡つむぎだします。

 『大人おとなもぞっとする原典げんてん「日本にっぽん昔むかしばなし」』は、三笠みかさ書房しょぼうから出版しゅっぱんされています。日本人にっぽんじんの心こころの奥おくに隠かくされた、恐怖きょうふや残虐性ざんぎゃくせい、不ふ合理ごうりを炙あぶり出だしたような昔むかし話ばなしを集あつめた一冊いっさつです。特とくに、母性ぼせいと嫉妬しっとによって、女おんなは恐おそろしいほどの力ちからを発揮はっきするということを知しることができます。「かぐや姫ひめ」や「天道てんどうさま金きんの鎖くさり」など、残忍ざんにんで残酷ざんこくで恐怖きょうふを覚おぼえる、狂気きょうきに満みちた真実しんじつの日本にっぽんの昔むかし話ばなしが11篇ぺん収録しゅうろくされています。

あらすじ

 むかしむかし、あるところに、母親と太郎、次郎、三郎の三人の子どもが住んでいました。

 母親は三人の子どもを大変に可愛がっていて、片時もそばを離れることはありませんでした。

 ところが、ある日、どうしても母親が一人で出かけなければならないことが起きました。

 母親は心配して、上の二人の子どもの太郎と次郎に向かって、
 「お前たちは、十分に気をつけて、家を守るんですよ。お母さんがいない間は、誰が来ても戸を開けてはなりません。油断をすると、恐ろしい山姥がやってきますから」
と言って、一番下の子どもの三郎を託して出かけていきました。

 山姥と聞いただけで、太郎と次郎はガタガタと恐怖に身を震わせました。

 母親の出かけるのを見た山姥は、先ずは母親に襲いかかり喰ってしまいました。

 山姥は、母親の着物を着て、母親に成りすますと、三人の子どもたちがいる家にやってきました。

 しかし、戸がしっかりと閉まっていました。

 「トントントン」
と家で留守番をしていた子どもたちに、戸をたたく音が聞こえてきました。

 「誰ですか」
と家の中から太郎が尋ねると、
 「お母さんだよ」
と外にいる山姥は答えました。

 でも、太くてガラガラな荒い声だったので、
 「嘘だ、嘘だ、お母さんの声はもっときれいで優しいぞ」
と太郎と次郎は言って、戸を開けませんでした。

 仕方がないので、山姥は山に戻り、きれいな声のでる草を食べ、またやってきました。

 「お母さんだよ。戸を開けておくれ」
その声が今度はきれいで優しかったので、太郎は少し戸を開けて、
 「戸の隙間から手を入れて見せておくれ」
と用心して言いました。

 山姥は戸の隙間から手を差し入れました。

 すると、その手は黒くて毛むくじゃらでした。

 「お母さんの手は、こんなにガサガサしていない。スベスベしていてきれいな手だ」
と言って、太郎は戸を閉めてしまいました。

 またしても山姥は、子どもたちに、母親ではないことが知られてしまいました。

 山姥は再び山へ戻ると、山芋を手に塗ってスベスベにして、またまた家で留守番をしている子どもたちのところへやってきました。

 山姥は、きれいな声のでる草を食べているので、きれいな優しい声で、
 「お母さんだよ。戸を開けておくれ」
と言いながら、山芋を塗ったスベスベした手を太郎と次郎に見せました。

 声がきれいで優しく、手がスベスベしていたので、
 「スベスベの手だ。本当のお母さんが帰ってきた」
と喜び、家の中にいた太郎と次郎は、すぐに戸を開けてしまいました。

 まんまと山姥は、子どもたちのいる家の中へ入ることに成功しました。

 山姥は、母親の着物を着て、母親に成りすましていたので、子どもたちはすっかり安心してしまい、いつものように馴れ馴れしく振る舞いました。

 夜になって、山姥は、三人の子の一番下の三郎を抱き上げ、寝間へ入り寝てしまいました。

 別の部屋で寝ていた上の二人の子どもの太郎と次郎は、カリカリと何かをかじる音が聞こえてきたので、夜中に目を覚ましました。

 太郎と次郎が、
 「お母さん、何を食べているの」
と聞くと、山姥は声づくりをして、
 「とても美味しいものだよ。少しあげるから食べてみなさい」
と言って、一本の指を投げたのでした。

 太郎と次郎は、それを見て驚きました。

 それは、山姥が母親に成りすましていることが分かったからでした。

 「あいつは山姥だ、三郎は喰われた」
と叫んで、二人は逃げ出しました。

 夜が明ける頃、家の外に出た二人は、走りに走って川に出ました。しかし、橋がなく渡ることができないので、
 「どうする、どうしよう」
と二人は言いながら、オドオド、キョロキョロしていたら、すぐ先に大きな一本の木があるのを見つけました。

 二人はその木に登って身を隠しました。

 追いかけてきた山姥は、川面に二人が写っているのを見つけまいた。

 「そこにいたのか、もう逃さないぞ」
と言って、山姥は川の中に入っていきました。

 それを木の上から見ていた二人は、おかしくて笑い出してしまいました。

 笑い声に驚いた山姥が上を仰ぐと、探していた二人の子どもが、木の上に隠れていたのでした。

 山姥は二人の子どもに、
 「どうやってそんな高い木に登ったんだね」
と尋ねました。

 子どもたちは、
 「油を足に塗って登ったんだよ」
と答えました。

 山姥は、その通りに油を足に塗って木に登ろうとしましたが、ツルツル滑ってどうしても登れませんでした。

 何回やっても木に登れないので、ふうふうと山姥が肩で息をしている姿を見ると、ついおかしくなって、
 「木にナタで切れ目をつければ登れるのに」
と次郎が言ってしまいました。

 山姥はそれを聞くと、足に塗った油をとると、木にナタで切れ目をつけて登ってきました。

 山姥はドンドンと木を登ってきて、木のてっぺんまで追い詰められた太郎と次郎は、
 「お天道さま、お天道さま、どうか助けてください。天から金の鎖を下ろしてください」
と叫びました。

 すると、天から金の綱がゾロゾロと下りてきました。

 太郎と次郎は、それにぶら下がると、ズンズン天に引き上げられていきました。

 間一髪のところで二人の子どもを捕え損ねた山姥は、残念がりながら、二人の子どもが行った通り天に向かって、
 「鎖をよこせ」
と叫びました。

 すると、今度は、天から腐った縄が下がってきました。

 山姥は、それにぶら下がり天に登りかけましたが、途中でプッツリ切れ、蕎麦畑に落ちてしまいました。

 蕎麦畑に落ちた山姥は、そこにあった石に頭を打ちつけて、そのまま死んでしまいました。

 山姥の流した血で、蕎麦の茎が真っ赤に染まったので、今でも、蕎麦の茎は赤いといわれています。

 そして、金の鎖で天に登り、助かった太郎と次郎は、やがて夜空に光り輝くお星さまになったのでした。

解説

 『お月つきさん金きんの鎖くさり』の昔むかし話ばなしは、東北とうほく地方ちほうから九州きゅうしゅう地方ちほう、さらに南西なんせい諸島しょとうまで日本にっぽん各地かくちで広ひろく語かたられています。

 特とくに、九州きゅうしゅう地方ちほうなど日本にっぽん列島れっとうの南部なんぶの地域ちいきに数かず多おおく似にたお話はなしが存在そんざいします。

 語かたられる地域ちいきによって、展開てんかいや細こまかい設定せっていに違ちがいがみられますが、おおむね筋立すじだては共通きょうつうしています。

 『お月つきさん金きんの鎖くさり』は、怪談かいだん話ばなしの趣おもむきが強つよい内容ないようですが、その一方いっぽうで、瀬戸せと内海ないかいに浮うかぶ塩飽しわく諸島しょとうの中心ちゅうしんで香川県かがわけん丸亀市まるがめしに属ぞくする本島ほんじまをはじめとして、中国ちゅうごく・四国しこく・九州きゅうしゅう地方ちほうでは『蕎麦そばの茎くきは何故なぜ赤あかいかの話はなし』という題だいで、やや赤あかみかがっている蕎麦そばの茎くきの色いろの由来ゆらい話ばなしとして語かたられています。

 沖縄県おきなわけんの八重山やえやま列島れっとうにある石垣島いしがきじまなどでは、『兄弟星きょうだいぼし』や『お月つきお星ほし』という題だいで、「二人ふたりの兄弟きょうだいが星ほしになった」または「二人ふたりの兄弟きょうだいの一人ひとりが月つきでもう一人ひとりが星ほしになった」として、月つきや星ほしの由来ゆらい話ばなしとして語かたられています。

 さらには、九州きゅうしゅう地方ちほうの北方ほっぽうにある玄界灘げんかいなだに浮うかぶ長崎県ながさきけんの対馬島つしまとうなどでは、『天道てんどうさま金きんの鎖くさり』という題だいで、母親ははおやが蘇生そせいする展開てんかいのお話はなしが語かたられています。

 また、「お月つきさまいくつ、十三じふさん七ななつ、まだ年としや若わかいな」という歌詞かしで知しられる、わらべうた『お月つきさまいくつ』の唄うたの由来ゆらいとしても語かたられることがあります。

 それから、日本にっぽんには、『お月つきさん金きんの鎖くさり』と同おなじように、山姥やまんばから子こどもが逃にげる『三枚さんまいのお札ふだ』という有名ゆうめいな昔むかし話ばなしがあります。

 この『三枚さんまいのお札ふだ』も日本にっぽん各地かくちで広ひろく語かたられていますが、面白おもしろいことに『お月つきさん金きんの鎖くさり』とは対照的たいしょうてきに、似にたお話はなしは東北とうほく地方ちほうなど日本にっぽん列島れっとうの北部ほくぶの地域ちいきに数かず多おおく存在そんざいしています。

感想

 子こどもが成長せいちょうしていく上うえで、家庭かていというのは大切たいせつな役割やくわりを担になっています。

 親おやは我わが子この成長せいちょうを最後さいごまで見み届とどけることはできません。

 一人ひとりっ子この家庭かていであれば、友達ともだちの大切たいせつさを教おしえなければいけませんが、兄弟きょうだい姉妹しまいのいる家庭かていであるならば、兄弟きょうだい(姉妹しまい)愛あいを教おしえることがとても重要じゅうようです。

 兄弟きょうだい(姉妹しまい)愛あいは、血ちがつながっているから自然しぜんに生うまれるものではありません。

 我わがが子こに対たいして親おやが、時間じかんをかけ、育はぐくみ、覚おぼえるものです。

 兄弟きょうだい(姉妹しまい)愛あいを育はぐくむためには、親おやが兄弟きょうだい(姉妹しまい)を比くらべることはせず、平等びょうどうに愛あいすることです。

 それだけで子こどもは安心あんしんします。

 また、兄弟きょうだい(姉妹しまい)愛あいを育はぐくむ際さい、年齢ねんれいが一番いちばん上うえの子こが下したの子こたちの面倒めんどうをみるようにする傾向けいこうがありますが、それよりも子こどもはそれぞれが自立じりつするよう方向ほうこうづけることが望のぞましいです。

 誰だれかに責任せきにんを押おしつけてしまうと、他ほかの子こどもたちは依頼いらいする癖くせがついてしまいます。

 そして、年齢ねんれいが一番いちばん上うえの子こに責任せきにんが重おもくのしかかってしまいます。

 もしくは、早はやく生うまれただけなのに、「自分じぶんは偉えらい」とか「特権とっけんがある」とか、年齢ねんれいが一番いちばん上うえの子こが勘かん違ちがいをするようになってしまうかもしれません。

 もちろん、年齢ねんれいが一番いちばん上うえの子こが下したの子こたちの面倒めんどうをみることを否定ひていしません。しかし、下したの子こたちが上うえの子こを助たすけることだってあります。

 つまり、兄弟きょうだい(姉妹しまい)はチームということです。

 リーダーは、兄弟きょうだい(姉妹しまい)の中なかで、日々ひび、場面ばめん場面ばめんで変かわるということです。

 愛情あいじょうを素直すなおに与あたえたり受うけ入いれたりするものが兄弟きょうだい(姉妹しまい)の関係かんけいです。

 そして、兄弟きょうだい(姉妹しまい)が、お互たがいに尊敬そんけいし合あい、信頼しんらいし合あい、助たすけ合あえる関係かんけいを築きずくことこそが、我わが子こに親おやが残のこすことのできる最高さいこうの財産ざいさんだと思おもいます。

まんが日本昔ばなし

『お月つきさん金きんの鎖くさり』
放送日: 昭和52年(1977年)03月19日
放送回: 第0124話(0076 Aパート)
語り: 市原悦子・(常田富士男)
出典: 表記なし
演出: 芝山努
文芸: 沖島勲
美術: 芝山努
作画: 芝山努
典型: 逃竄譚とうざんたん・由来譚ゆらいたん・妖怪譚ようかいたん・山姥譚やまんばたん
地域: ある所

 Amazonプライム・ビデオで、『まんが日本にっぽん昔むかしばなし』へ、ひとっ飛とび。

 かつてテレビで一大いちだいブームを作つくった『まんが日本にっぽん昔むかしばなし』の中なかから傑作けっさく101話わを厳選げんせんしました!

 国民こくみん的てきアニメーション『まんが日本にっぽん昔むかしばなし』がDVDになりました!
 『お月つきさん金きんの鎖くさり』は「DVD-BOX第だい9集しゅう 第だい43巻かん」で観みることができます。

最後に

 今回こんかいは、『お月つきさん金きんの鎖くさり』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 冒頭ぼうとうから母親ははおやが山姥やまんばに喰くわれてしまうという展開てんかいに驚おどろかされ、結末けつまつでも天てんに昇のぼった子こどもたちが月つきや星ほしになるという、恐おそろしいだけではなく悲劇ひげきを感かんじるお話はなしが『お月つきさん金きんの鎖くさり』です。ぜひ触ふれてみてください!

おすすめの記事