昔話『八つ化け頭巾』のあらすじ・内容解説・感想|おすすめ絵本
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 『きん』は、悪戯好いたずらずきで愉快ゆかい和尚おしょうさんが、きつねから「八つ化け頭巾」をだまり、様々さまざま悪戯いたずらをします。一方いっぽう、狐は和尚さんからもらった「ただのぬぐい」をあたませ、美女びじょけたつもりでいます。和尚さんが狐からうばった変身道具へんしんどうぐで、もう一騒動ひとそうどうこすという展開てんかい非常ひじょう見応みごたえあります。

 今回こんかいは、『八つ化け頭巾』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

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概要

 アニメーションテレビ番組ばんぐみまんが日本にっぽんむかしばなし』で紹介しょうかいされたことで、『きん』は日本中にっぽんじゅうひろわたるようになった民話みんわです。

 東北地方とうほくちほうつたわる民話としてかたがれていますが、類話るいわ日本各地にっぽんかくち分布ぶんぷしています。頓知話とんちばなし一話いちわとなっている場合ばあいもあります。

 絵本えほんばけずきん (日本にっぽん民話みんわえほん)』は教育画劇きょういくがげきより出版しゅっぱんされています。ひとかしてばかりのいたずらきなキツネをおぼうさんがらしめるためにやってきますが、最後さいご予想外よそうがい展開てんかいにビックリさせられます。梶山俊夫かじやまとしおさんのこころがほっこりします。

 絵本『つばけずきん (まんが日本にっぽんむかしばなし 36)』は講談社こうだんしゃより出版されています。人を化かすキツネといたずら好きな和尚おしょうさんに、おもわずわらいがこみあげてきます。

あらすじ

 むかしむかし、悪戯好いたずらずきの和尚おしょうさんがいました。
 ある、和尚さんはみちはずれのやぶなか一匹いっぴきのキツネがふるびたぬぐいをまえにして、かた練習れんしゅうをしているのをました。

 和尚さんは、自分じぶんもキツネで頭巾ずきんを使って化けているとって、キツネがっていた化け道具どうぐの手ぬぐいと何でもないただの頭巾ずきん交換こうかんすることに成功せいこうしました。
 手ぬぐいを持って自分のてらもどると、えらいお坊様ぼうさま小僧こぞうさんが寺にやってきたので、和尚さんはお坊様をからかってやろうとおもいました。

 和尚さんはお坊様に、ふたつある部屋へやのどちらでもきなほうをお使つかいくださいと案内あんないしました。ひとの部屋にはうつくしい女性じょせいがいて、二つ目の部屋には仏像ぶつぞう安置あんちされていました。お坊様は小僧さんがいるまえで女性がいる部屋はえらべないので、仏像の部屋を選びおきょうとなえていました。しばらくすると小僧さんが居眠いねむりをはじめたので、お坊様はこっそりと美しい女性がいる部屋へき、さけをご馳走ちそうになりました。

 しかし、その女性は和尚さんがキツネの手ぬぐいを使って化けていたもので、突然とつぜん不動明王ふどうみょうおう変身へんしんし、
 「こらっ!この生臭なまぐさ坊主ぼうずめ!!御仏みほとけつかえるでありながら、酒をんだうえにおなごにすなんてけしからん!!!」
いかり出したので、おどろいたお坊様は大慌おおあわてでげ出してしまいました。

 一方いっぽう、キツネはというと、だまされたことにもらず和尚さんの頭巾でむすめに化けたつもりになって、そのままの姿すがたまちあるいていました。

 ひとがキツネをかすという愉快ゆかいなおはなしです。

解説

 日本にっぽんでは「はち」は漠然ばくぜんかずおおきいことをあらわとして使つかわれます。つまり、『きん』というのは、“色々いろいろなものに化けることができる頭巾”という意味いみです。

 本来ほんらいきつね人間にんげんなどに化けるさいには、あたま髑髏どくろせていました。嘉永かえい2ねん(1849年)にえがかれた『狐草紙絵巻きつねそうしえまき』では、正体しょうたい見破みやぶられ場面ばめんで、狐は頭に髑髏を載せています。

 その伝承でんしょうがいつのころからか、水草みずくさとなりただのとなって、いまでは葉っぱ一枚いちまいを頭に載せて化けるというように変化へんかしました。

 変身道具へんしんどうぐが木の葉にわった理由りゆうは、稲荷大明神いなりだいみょうじん(宇迦之御魂神うかのみたまのかみ)の第一だいいち神使しんしであり、平安時代へいあんじだい陰陽師おんみょうじ安倍晴明あべのせいめいははとされ、人形浄瑠璃にんぎょうじょうるりおよび歌舞伎かぶき蘆屋道満大内鑑あしやどうまんおおうちかがみ』の主人公しゅじんこうである伝説上でんせつじょうの狐「くず」に由来ゆらいするとわれています。

感想

 『きん』は、すごくのんびりとしたおだやかな内容ないようのおはなしです。

 キツネがひとかすというむかしばなしはいくつもありますが、こちらは人である和尚おしょうさんがキツネを化かすという内容ないようです。

 そして、さらにおどろくべきことにキツネから化けるための道具どうぐまでをも和尚さんはうばり、それを使つかって様々さまざまなものに化けるという、一般的いっぱんてきな人とキツネの昔ばなしとはすこちがった展開てんかいです。

 悪戯好いたずらずきの和尚さんがえらいお坊様ぼうさまくわえたみごとな一撃いちげき場面には、おおくのかた拍手はくしゅ喝采かっさいしたことでしょう。

 一方いっぽうむすめに化けたつもりのキツネが、街中まちなかをしゃなりしゃなりときどってある姿すがた想像そうぞうすると、おもわずわらいがこみあげてきます。

まんが日本昔ばなし

きん
放送日: 昭和50年(1975年)01月14日
放送回: 第0003話(第0002回放送 Aパート)
語り: 市原悦子・(常田富士男)
出典: 表記なし
演出: 上口照人
脚本: 平見修二
美術: 阿部幸次
作画: 上口照人
典型: 宝物たからもの交換こうかんたんきつねたん
地域: 東北地方

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 かつてテレビで一大いちだいブームをつくった『まんが日本昔にっぽんむかしばなし』のなかから傑作けっさく101厳選げんせんした書籍しょせき分冊版ぶんさつばん講談社こうだんしゃより出版されています。『きん』が収録しゅうろくされています。

 国民的こくみんてきアニメーション『まんが日本昔にっぽんむかしばなし』がDVDになりました!
 『八つ化け頭巾』はDVDのため「VHS-BOXだい4しゅう 第31かん」でることができます。

最後に

 今回こんかいは、『きん』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 一見いっけんさとりきったかおをした高僧こうそうでも、じつこころなかにはたくさんの欲望よくぼうっています。つまり、欲望にち満ちているのが人間にんげんであり、それがいつわりのない姿すがたであり、それこそがそのひと個性こせい形成けいせいするのです。『八つ化け頭巾』は、健康けんこう人間にんげんならば、だれだって欲望を持っているということをおしえてくれるおはなしなので、ぜひれてみてください!

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