昔話『風の神とこども』のあらすじ・内容解説・感想|おすすめ絵本
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 大人おとなたちが田たんぼに出でてしまった村むらで、子こどもたちが遊あそんでいると、突然とつぜんゴーっと風かぜが吹ふき、とても大おおきな子どもがやってきました。大きな子どもは村の子どもたちを乗のせ、天てんに舞まい上あがり、柿かきや栗くりのなる山やまへと連つれて行いきますが…。

 今回こんかいは、『風かぜの神かみとこども』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

概要

かぜのかみとこども 山中恒 瀬川康男 フレーベル館 『風かぜの神かみとこども』は新潟県にいがたけん小千谷市おぢやしに伝つたわる民話みんわです。

 風かぜの神様かみさまの子こどもと村むらの子どもたちの交流こうりゅうを描えがいたお話はなしで、昭和しょうわ32年ねん(1957年)に未來社みらいしゃより発行はっこうされた水沢謙一みずさわけんいちの『越後えちごの民話みんわ』と、昭和47年(1972年)12月号がつごうにフレーベル館かんより発行された『キンダーおはなしえほん』で紹介しょうかいされたことで日本中にっぽんじゅうに広ひろく知しられるようになりました。

 他ほかに風の神様の子どもと子どもたちの交流を描いたお話で連想れんそうするものは、宮沢賢治みやざわけんじの『風かぜの又三郎またさぶろう』があります。

 また、昭和49年(1974年)12月にNHKの『みんなのうた』で放送ほうそうされた作詞さくし:井出隆夫いでたかお・作編曲さくへんきょく:福田和禾子ふくだわかこが手掛てがけ堺正章さかいまさあきと東京放送児童合唱団とうきょうほうそうじどうがっしょうだんが歌唱かしょうを担当たんとうした童謡どうよう「北風小僧きたかぜこぞうの寒太郎かんたろう」があります。

 この二ふたつの作品さくひんにも少すくなくとも発想はっそうの上うえで『風の神とこども』の影響えいきょうが見みられます。

 絵本えほん『かぜのかみとこども (フレーベル館かん復刊ふっかん絵本えほんセレクション)』は、フレーベル館かんから出版しゅっぱんされています。山中恒やまなかひさしさんによるスリリングで不思議ふしぎな世界せかいを描えがいた文ぶんが、瀬川康男せがわやすおさんの少すこしとぼけた独特どくとくのタッチの絵えにより、そんな不思議な世界が和なごやかな雰囲気ふんいきとなります。1972年ねん初出しょしゅつ作品さくひんの復刊ふっかんなので、味あじわい深ぶかい絵本です。

 『子こどもに語かたる 日本にっぽんの昔話むかしばなし・1』は、こぐま社しゃから出版しゅっぱんされています。おなじみの昔話むかしばなしを、そのお話はなしが伝つたわる地方ちほうの方言ほうげんで語かたるとう方式ほうしきで書かかれています。方言の味あじわいを適度てきどに残のこしながら、現代風げんだいふうの言葉し遣づかいに書かき換かえられてるため読よんでいても聞きいていても分わかりやすいです。昔話むかしばなしが持もつ力ちからのすごさを感かんじる一冊いっさつです。

 『おはなしのろうそく・9』は、東京とうきょう子こども図書館としょかんから出版しゅっぱんされています。小ちいさな冊子さっしの本ほんです。読よみ聞きかせはもちろんですが、小学生しょうがくせい以上いじょうのお子こさんならば一人ひとり読よみでも楽たのしむことができるでしょう。本ほんを開ひらく度たびに、心こころがウキウキと躍おどる一冊いっさつです。「風かぜの神かみと子こども」の他ほか、全ぜん5篇へんが収録しゅうろくされています。

 『越後えちごの民話みんわ 第だい2集しゅう ([新版しんぱん]日本にっぽんの民話みんわ 70)』は、未來社みらいしゃから出版しゅっぱんされています。優すぐれた伝承者でんしょうしゃたちから採集さいしゅうした越後えちごに伝つたわる民話みんわのうち、世界せかいの諸民族しょみんぞくの民間みんかん説話せつわと類似るいじや一致いっちするもの、また遠とおい祖先そせんたちの信仰しんこうや精神せいしん生活せいかつのきっかけとなるものを75篇へんとわらべうたが収録しゅうろくされています。

あらすじ

 むかしむかし、ある村むらで、大人おとなはみんな田たんぼへ出でかけて稲刈いねかりをしていました。残のこった子こどもたちが村の鎮守様ちんじゅさまのところで遊あそんでいると、突然とつぜん風かぜが吹ふき、とても大おおきな子どもがやってきました。

 その大きな子どもは、
 「柿かきや栗くりがたくさんなっている山やまへ連つれて行いってあげる」
と村の子どもたちに言いいました。

 それを聞きいた村の子どもたちは、大喜おおよろこびで、
 「連れて行って欲ほしい」
と頼たのむと、大きな子どもはゴーっと風を起おこして空高そらたかく舞まい上あがり、どこかの山の中なかへ子どもたちを連れきました。

 その山で子どもたちは柿や栗をお腹一杯なかいっぱいになるまで食たべて遊びました。

 夕方ゆうがたになってあたりが薄暗うすぐらくなってきた頃ころ、突然大きな子どもが、
 「用ようがあるので自分じぶんたちで家いえに帰かえれ」
と言って姿すがたを消けしてしまいました。

 困こまった子どもたちが見知みしらぬ山をさまよい歩あるいていると、遠とおくでひかる灯あかりを見みつけました。

 灯りを目指めざして進すすむと、ある一軒家いっけんやにたどり着つきました。

 そこには太ふとった大きな風の神かみの親子おやこが住すんでおり、山へ連れてきたのは南風みなみかぜの子どもだと教おしえてくれました。

 子どもたちは風の神の親子の家でご馳走ちそうになり、帰かえりは南風の子どもの弟おとうとである北風きたかぜの神のしっぽに乗のせてもらって村まで送おくってもらいました。

 村では夜よるになっても子どもたちが帰ってこないことを心配しんぱいした大人たちが村中むらじゅうを探さがし回まわっているところだったので、無事ぶじに帰ってきた子どもたちにホッとしました。

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解説

 子こどもが急きゅうにみえなくなることを「神隠かみかくし」といいます。

 『風かぜの神かみとこども』のお話はなしのように、以前いぜんは農村のうそんなどでよく起おきた現象げんしょうで、これを天狗てんぐ、狐きつね、鬼おに、隠かくし神がみなどによって隠かくされたものだと信しんじられ、村中総出むらじゅうそうでで鉦かねや太鼓たいこを叩たたいて捜さがし歩あるいたそうです。

 永遠えいえんに帰かえらない場合ばあいと、数日すうじつしてひょっこり帰ってくることや山中さんちゅうなどでぐったりしている姿すがたを発見はっけんされる場合があったそうです。

 発見された子どもに話を聞きいても“うろ覚おぼえ”のことが多おおいのが特徴とくちょうで、これは異界いかいとの交流こうりゅうではないかと思おもわれてきました。

 また、新潟県にいがたけんや岩手県いわてけんでは、風かぜの神様かみさまを「風かぜの三郎様さぶろうさま」と呼よんで祭礼さいれいを行おこなう風習ふうしゅうがあり、風を自然現象しぜんげんしょうではなく霊的れいてきなものとする民間信仰みんかんしんこうがみられ、古来こらい神社じんじゃで祀まつられてきました。

 神隠し伝説でんせつを風の神様の子どもと結むすびつけ、そのままに伝承でんしょうされた可能性かのうせいが考かんがえられます。

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感想

 子こどもたちの遊あそびの描写びょうしゃを通とおして、現実世界げんじつせかいと異郷いきょうとの間あいだで揺ゆれる子ども特有とくゆうの精神世界せいしんせかいを鮮あざやかに描えがいています。そして、不思議ふしぎな余韻よいんに浸ひたり、郷愁きょうしゅうや憧憬しょうけいの思おもいに駆はせられます。

 さて、風かぜの神様かみさまの子どもの気きまぐれにより、村むらの子どもたちは異郷いきょうへ行いくことになります。そして、風の神様の子どもに置おき去ざりにされ、異郷から現実世界へ帰かえる手段しゅだんを失うしなった村の子どもたちは困惑こんわくします。

 そこに現あらわれるものが山やまの中なかで光ひかりを放はなつつひとつの灯あかりです。

 この“ひとつの灯り”という状況じょうきょうは、日本にっぽんの昔話むかしばなしではよく登場とうじょうします。困難こんなんな状況を打開だかいするための選択肢せんたくしは、多おおくは用意よういされていません。だから「ひとつ」と表現ひょうげんされるのでしょう。そして「灯り」は希望きぼうを指さす表現だと考かんがえられます。

 村の子どもたちが灯りの方ほうへ向むかうと、そこで出会であうのもまた神様だったので、村の子どもたちは無事ぶじに現実世界へ帰ることができました。

 このお話はなしは、日本人にっぽんじんの根底こんていにある目めに見みえず確たしかめようがない神様を、「信しんじる・信じない」とするのではなく、「大事だいじにする」という信仰心しんこうしんを語かたっているように思おもいます。

まんが日本昔ばなし

『風かぜの神かみとこども』
放送日: 昭和51年(1976年)03月06日
放送回: 第0039話(第0022回放送 Aパート)
語り: 常田富士男・(市原悦子)
出典: 表記なし
演出: まるふしろう
文芸: 沖島勲
美術: 稲場富恵(アートノア)
作画: スタジオアロー
典型: 異郷訪問譚いきょうほうもんたん
地域: 中部地方(新潟県)

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最後に

 今回こんかいは、『風かぜの神かみとこども』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 子こどもたちだけの不思議ふしぎな世界せかいを描えがいたお話はなしが『風の神とこども』です。ぜひ触ふれてみてください!

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