昔話『貧乏神と福の神』のあらすじ・解説・感想|おすすめ絵本
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 福ふくの神かみとは、幸福こうふくをもたらしてくれるご神仏しんぶつ全般ぜんぱんを指さします。一方いっぽう、貧乏びんぼう神がみは、その福ふくをことごとく奪うばってしまう神様かみさまです。そんな福ふくの神かみを、ある貧乏びんぼうな夫婦ふうふが貧乏びんぼう神がみと力ちからを合あわせて、追おい出だすお話はなしが『貧乏びんぼう神がみと福ふくの神かみ』です。

 今回こんかいは、『貧乏びんぼう神がみと福ふくの神かみ』のあらすじと解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

概要

 『貧乏びんぼう神がみと福ふくの神かみ』は、東北とうほく地方ちほうに広ひろく伝つたわるお話はなしですが、同様どうように日本にっぽん各地かくちでも語かたり継つがれてきた口承こうしょう説話せつわのため、明確めいかくな原典げんてんとされる文献ぶんけん資料しりょうはありません。

 古来こらい、貧乏びんぼう神がみは、その名なの通とおり、特定とくていの人ひとや家いえにとり憑つき、貧乏びんぼうをもたらす神様かみさまとして、日本にっぽんでは言いい伝つたえられています。

 日本にっぽんの昔むかし話ばなしには、神仏しんぶつへの敬意けいいや勤勉きんべんさを讃たたえるテーマがよく見みられますが、『貧乏びんぼう神がみと福ふくの神かみ』では「貧乏びんぼう神がみを追おい出だすことよりも、共ともに生いきることを選えらぶ」という姿勢しせいを強調きょうちょうしています。

 物質ぶっしつ的てきな豊ゆたかさよりも心こころの豊ゆたかさを重おもんじる日本にほんの美び意識いしきや、絆きずなを大切たいせつにする日本にっぽんの文化ぶんかが反映はんえいされています。

 それでは、『貧乏びんぼう神がみと福ふくの神かみ』の世界せかいに飛とび込こみ、幸しあわせの真しんの意味いみを探さがってみましょう。

 絵本えほん『びんぼうがみとふくのかみ (子こどもがはじめてであう民話みんわ 9)』はポプラ社しゃから出版しゅっぱんされています。大川悦生おおかわえっせいさんによる前向まえむきな生いき方かたを教おしえる文ぶんと、長谷川知子はせがわともこさんの分わかりやすい絵えがマッチしたおススメの絵本です。

 絵本えほん『びんぼうがみとふくのかみ (日本にっぽん名作めいさくおはなし絵本えほん)』は小学館しょうがっかんから出版しゅっぱんされています。富安陽子とみやすようこさんの落語らくごのような軽快けいかいでテンポのよい文ぶんと、飯野和好いいのかずよしさんの大胆だいたんでありながら表情ひょうじょう豊ゆたかな絵えが、見事みごとに融合ゆうごうした読よんでいて豊ゆたかな心こころになる楽たのしい絵本です。

 『福ふくの神かみと貧乏神びんぼうがみ』は筑摩書房ちくましょぼうから出版しゅっぱんされています。福ふくの神かみとは、幸福こうふくをもたらしてくれるご神仏しんぶつ全般ぜんぱんを指さします。七福神しちふくじんは、その代表だいひょうと言いっていいでしょう。そんな七福神が、いつごろどうして福の神になったのか。どんな人ひとのところに福の神はやって来くるのか。福ふくや富とみについて、昔話むかしばなしや福神信仰ふくじんしんこうを手掛てがかりに、それらを解明かいめいする刺激的しげきてきな一冊いっさつです

あらすじ

 むかしむかし、あるところにとても貧乏びんぼうな男おとこがいました。

 それは、男の家いえに貧乏神びんぼうがみが住すんでいたからです。

 男のとても貧まずしい暮くらしを見みかねた村むらの人ひとたちが、男に嫁よめを世話せわしてあげました。

 嫁はとても働はたらき者もので朝あさから晩ばんまでよく働きました。それにつられて男も働くようになったので、貧乏神はだんだんと居心地いごこちが悪わるくなってきました。

 ある年としの大晦日おおみそか、夫婦ふうふが年越としこしの支度したくを済すませてお正月しょうがつを迎むかえようとしていると、天井裏てんじょううらから泣なき声ごえが聞きこえてきました。

 天井裏を見ると貧乏神が、
 「福ふくの神かみが明日あすやって来くるので、それまでに家を出でなくてはならない」
と言いって泣いていました。

 優やさしい夫婦は、
 「ずっとこの家にいてもいいよ」
と貧乏神に言うと、今度こんどは嬉うれしくて貧乏神はまた泣きました。

 除夜じょやの鐘かねがなると福の神がやってきて、力ちからずくで貧乏神を追おい出だそうとしました。

 貧乏神と福の神の押おし合あいを見ていた夫婦は、貧乏神を助たすけて福の神を家の外そとへと追い出しました。

 驚おどろいたのは福の神でした。

 歓迎かんげいされるとばかり思おもっていたので、呆然ぼうぜんとしてしまいました。

 そして、首くびをひねりながら福の神はもと来きた道みちを引ひき返かえしていきました。

 その後ごも貧乏神が住み続つづけたこの家は、お金持かねもちになることはありませんでしたが、それでも夫婦は幸しあわせに暮らしました。

解説

 貧乏神びんぼうがみにとり憑つかれると食物しょくもつが欠乏けつぼうしたり金銭きんせんに貪欲どんよくになったり、思おもいもよらぬ妨さまたげなどの厄災やくさいが生しょうじたりするといわれています。

 貧乏神は人間にんげんの姿すがたで巷ちまたをさまようものと信しんじられ、痩やせた体からだで金壺眼かなつぼまなこでとがった顎あごをし、ねずみ色いろの単衣ひとえに白しろい菅笠すががさをかぶり、首くびから頭陀袋ずだぶくろをつりさげ、手てに渋団扇しぶうちわを持もった姿で描えがかれるのが典型的てんけいてきです。

 貧乏神は味噌みそが好物こうぶつで、団扇うちわを手にしているのはこの味噌の芳香ほうこうを扇あおいで楽たのしむためとされています。

 貧乏神という表現ひょうげん自体じたいは、古ふるくは室町時代むろまちじだいにまでさかのぼります。

 「応仁おうにんの乱らん」で荒廃こうはいした京きょうの都みやこの記録きろくに貧乏神という表現ひょうげんが初はじめて使つかわれ、そしてこの記録から貧乏神が男神おがみとして認識にんしきされるようになりました。

 それから、注意ちゅういしなければならない点てんがあります。

 貧乏神にとり憑かれたとしても、この神かみを丁重ていちょうに祀まつると逆ぎゃくに富とみや福ふくをもたらす福神ふくじんに転化てんかすることがあるということです。

 東京都文京区小石川とうきょうとぶんきょうくこいしかわに鎮座ちんざする牛天神北野神社うしてんじんきたのじんじゃの境内末社けいだいまっしゃの太田神社おおたじんじゃには、そんな福ふくの神かみを招まねき入いれる貧乏神が祀られています。

感想

 損得勘定そんとくかんじょうばかり考かんがえていると、物事ものごとの本質ほんしつを捉とらえることができなくなってしまいます。

 そして、どんなに定量的ていりょうてきな評価ひょうかが普及ふきゅうしても、「幸しあわせかどうか」という基準きじゅんは不滅ふめつです。

 社会的しゃかいてきに成功せいこうすれば、お金持かねもちになれるので、きっと幸せになれると考かんがえ、日々ひび、努力どりょくをしているという方かたは多おおいでしょう。

 しかし、必死ひっしに努力をして成功し、お金持ちになったからといって、人ひとは必かならずしも幸せになれるとは限かぎりません。

 それは、成功した後あともさらなる成功を追おい求もとめるといった堂々巡どうどうめぐりに陥おちいることがあるからです。

 また、“成功=幸せ”という発想はっそうをもつ限り、成功するまでは幸せではない日々を過すごさなくてはならないということもあります。

 それならば、「幸せかどうか」を考える方ほうが分わかりやすいのではないでしょうか。

 つまり、「成功すれば幸せになれる」と考えるより、「幸せであることが成功につながる」という考えです。

 成功するうえでは、まずは今いまを幸せと感かんじていることが大事だいじということです。

 しかし、それにはどんな時ときに幸福感こうふくかんを抱いだくかを考える必要ひつようがあります。

 未来みらいに対たいして明あかるい希望きぼうが持もてれば、今よりは良よくなると感じることができるので、きっと幸福感を抱くことができるはずです。

 お金持ちになったとしても、それが幸福感に直結ちょっけつしない理由りゆうも、ここにあると思おもいます。

 でも、未来はどうなるのか誰だれにも分かりません。

 だから、何事なにごとにも楽観的らっかんてきに考えることが意外いがいと大事なのかもしれません。

 また、日々を幸せに過すごすうえでは、日常にちじょうの小ちいさな喜よろこびを大切たいせつにすることも大事です。

 毎日まいにちを幸せに生いきるうえでは、損得勘定ばかり考えるより、周まわりの人の幸せを考え行動こうどうし、他者たしゃの幸せを自分じぶんのことのように素直すなおに喜よろこべるようになれば、幸福感はきっと大おおきなものになるでしょう。

まんが日本昔ばなし

『貧乏神びんぼうがみと福ふくの神かみ』
放送日: 昭和51年(1976年) 01月10日
放送回: 第0027話(第0014回放送 Aパート)
語り: 市原悦子・(常田富士男)
出典: 表記なし
演出: 近藤英輔
脚本: 沖島勲
美術: 宮野隆(スタジオユニ)
作画: 小島秀人
典型: 民間信仰みんかんしんこう
地域: 東北地方

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最後に

 今回こんかいは、『貧乏神びんぼうがみと福ふくの神かみ』のあらすじと解説かいせつ、感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 貧乏びんぼうを笑わらい飛とばし、自みずからを励はげまし、大真面目おおまじめにたくましく、貧乏神びんぼうがみと生いきていくことを実感じっかんとして持もった夫婦ふうふを、おもしろおかしく描えがいたお話はなしが『貧乏神と福の神』です。ぜひ触ふれてみてください!

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