昔話『にんじんとごぼうとだいこん』のあらすじ・内容解説・感想

　『にんじんとごぼうとだいこん』は野菜やさいが主人公しゅじんこうの物語ものがたりです。なぜ、ニンジンは赤あかく、ゴボウは真まっ黒くろで、大根だいこんは真まっ白しろになったのかを、それぞれの性格せいかくとあわせて、色いろの由来ゆらいを描えがいています。

　今回こんかいは、『にんじんとごぼうとだいこん』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ、感想かんそうなどをご紹介しょうかいします！

概要

　『にんじんとごぼうとだいこん』は野菜やさいが主人公しゅじんこうの物語ものがたりです。

　ニンジンがなぜ赤あかいのでしょうか？
　ゴボウはなぜ真まっ黒くろなのでしょうか？
　大根だいこんはなぜ真まっ白しろいのでしょうか？
　そもそも、どうしてそういう色いろになったのかを考かんがえたことはありますか？

　この『にんじんとごぼうとだいこん』を読よめば、たちまち個々ここの野菜やさいの色いろの由来ゆらいに納得なっとくすることができるでしょう。

そして、お子こさんにとっては野菜やさいの見方みかたが変かわり、苦手にがてだった野菜やさいが大好だいすききになるかもしれません。

　類話るいわは日本にっぽん各地かくちに広ひろく伝つたえられていますが、不思議ふしぎなことに登場とうじょうする主人公しゅじんこうの野菜やさいは、ニンジン、ゴボウ、大根だいこんの三さん種類しゅるいであることは共通きょうつうしています。

　また、題名だいめいで野菜やさいの順番じゅんばんが入いれ替かわって紹介しょうかいされることや、『大根だいこんが白しろいわけ』といったように具体的ぐたいてきな題名だいめいのものもあります。

あらすじ

　むかしむかし、畑はたけでは、美味おいしい水みずとお日様ひさまの光ひかりをたっぷりもらって、すくすくと野菜やさいたちが大おおきく育そだっていました。

　どんな野菜やさいたちが土つちの中なかに隠かくれているのかと顔かおを覗のぞき込こむと、そこには“ゴボウ”と“ニンジン”と“大根だいこん”がおりました。

　ある日ひのこと、大きく立派りっぱな野菜やさいに育そだったので、ゴボウとニンジンと大根だいこんは、外そとの世界せかいに飛とび出だすことにしました。

　ところが、畑はたけから出でてきたばかりのゴボウとニンジンと大根だいこんは、泥どろだらけでみんな真まっ黒くろでした。

　そこで、ゴボウとニンジンと大根だいこんは、みんなでお風呂ふろに入はいって体からだを洗あらうことにしました。

　ゴボウとニンジンと大根だいこんは、お風呂ふろに水みずをはり、薪まきで火ひおこしをして、お湯ゆを沸わかしました。

　あわてん坊ぼうのニンジンは、
　「いちばーん！」
と言いって真まっ先さきにお風呂ふろに飛とび込こみました。

　ところが、まだお湯ゆがぬるかったので、ニンジンはじっとお湯ゆにつかっていました。

　次第しだいに、お湯ゆがだんだん熱あつくなってきましたが、ニンジンはそのまま我慢がまんしてじっとお湯ゆにつかっていました。

　そして、ニンジンはとうとう真まっ赤かになってしまいました。

　次つぎのゴボウはジャブーンとお風呂ふろに飛とび込こみました。

　しかし、熱あついお湯ゆが苦手にがてなゴボウは、
　「熱あついお湯ゆだなー」
と言いって、お風呂ふろから出でてしまいました。

　ニンジンと大根だいこんから、
　「体からだを洗あらいましょう」
と言いわれましたが、ゴボウは体からだも洗あらわずにさっさと遊あそびに行いってしまいました。

　そのため、ゴボウの体からだは真まっ黒くろなのです。

　最後さいごの大根だいこんは、お湯ゆを水みずでうめてからお風呂ふろに入はいりました。

　そして、
　「ちょうどいい湯ゆ加減かげんだ」
と大根だいこんは言いって、ゆっくりとのんびりお湯ゆにつかりました。

　気持きもちのいいお風呂ふろだったので、体からだをきれいに洗あらい、大根だいこんは真まっ白しろになりました。

　それで、大根だいこんの体からだは真まっ白しろなのです。

解説

　ニンジンとゴボウと大根だいこんは、日本人にっぽんじんの食事しょくじになくてはならないほど、大おおきな存在そんざいの野菜やさいです。

　手てを変かえ品しなを変かえ、ニンジンとゴボウと大根だいこんは、日本にっぽんの食卓しょくたくに並ならばない日ひはないと言いっても過言かごんではありません。

　赤あかと黒くろと白しろという三さん色しょくの彩いろどりも、どこか日本にっぽんっぽくて、文句もんくのつけようがないほどクールな野菜やさいです。

感想

　土つちの中なかにいる時ときは、ニンジンもゴボウも大根だいこんもみんな真まっ黒くろな土色つちいろの体からだなので、どれが誰だれ(？)だか分わかりません。

　しかし、お風呂ふろに入はいることで、それが一変いっぺんします。

　まずは、あわてん坊ぼうのニンジンです。

　まだお湯ゆがぬるいうちから、ニンジンはお風呂ふろに入はいってしまってため、じーっとつかっていたら、上あがり時どきが分わからなくなってしまい、のぼせるまで入はいってしまったことで、体からだが真まっ赤かになってしまいました。

　ニンジンは、なんてお茶目ちゃめなんでしょう。

　次つぎはゴボウです。

　熱あついお湯ゆに飛とび込こんだゴボウは、お湯ゆの熱あつさにビックリして、すぐに上あがってしまいました。だから体からだは真まっ黒くろのままです。しかも、ニンジンと大根だいこんから体からだを洗あらうよう注意ちゅういされたのに、それを聞きき入いれず遊あそびに行いってしまいます。

　ゴボウは、なんてせっかちで自由じゆうなんでしょう。

　最後さいごは大根だいこんです。

　大根だいこんは、“さし水みず”をしてからお風呂ふろに入はいるという慎重しんちょう派はです。少すこしぬるくなったお湯ゆの中なかにゆっくり入はいり、しっかりと体からだを洗あらいます。

　そして、ピッカピカの真まっ白しろい体からだに大根だいこんはなりました。

　個性こせい的てきな三さん人にん(？)の性格せいかくを、お風呂ふろの入はいり方かたで表現ひょうげんし、それに伴ともなった体からだの色いろにするなんて、驚おどろきの展開てんかいです。

　そして、なんとなくその色いろの由来ゆらいに納得なっとくしてしまう物語ものがたりです。

まんが日本昔ばなし

『にんじんとごぼうとだいこん』
放送日: 昭和51年(1976年)09月18日
放送回: 第0083話(第0050回放送 Bパート)
語り: 市原悦子･(常田富士男)
出典: 表記なし
演出: 堀口忠彦
文芸: 沖島勲
美術: 堀口忠彦
作画: 堀口忠彦
典型: 由来譚ゆらいたん
地域: ある所

最後に

　今回こんかいは、『にんじんとごぼうとだいこん』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ、感想かんそうなどをご紹介しょうかいしました。

　『にんじんとごぼうとだいこん』は、日本にっぽんに古ふるくから伝つたわる民話みんわです。野菜やさいの色いろの由来ゆらいがわかる、楽たのしい物語ものがたりです。お風呂ふろが好すきな子こも嫌きらいな子こも、野菜やさいが好すきな子こも嫌きらいな子こも、ぜひ触ふれてみてください！