昔話『かくれ里のふしぎ』のあらすじ・内容解説・感想|おすすめ絵本
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 『かくれさとのふしぎ』は、かくさとという人知じんちえた幻想げんそうてき異界いかい人間にんげんかい交錯こうさくえがいた悲哀ひあい物語ものがたりです。異界いかいとの接触せっしょく喪失そうしつ背景はいけいには、舞台ぶたいである岩手県いわてけん赤沢山あかざわやまざした伝承でんしょう自然しぜん信仰しんこういろ反映はんえいされています。

 今回こんかいは、『かくれさとのふしぎ』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

概要

かくれ里のふしぎ まんが日本昔ばなし 矢沢則夫 沖島勲 内田好之 岩手県 岩手県和賀郡 赤沢山 乱世に生きる 日本の民話 辺見じゅん 清水真弓 松谷みよ子 瀬川拓男 角川書店 KADOKAWA 岩手県いわてけんつたわるむかしばなし『かくれさとのふしぎ』は、長年ながねんにわたって地元じもとかたがれてきた民話みんわひとつです。

 舞台ぶたいとなるのは、陸奥国むつのくに和賀わが(現在げんざい岩手県いわてけん和賀郡わがぐん)の赤沢山あかざわやま周辺しゅうへんで、この地域ちいきふるくから「黄金おうごんまっている」としてもられてきました。

 『かくれさとのふしぎ』のなかには、「不思議ふしぎさと」「黄金おうごん」「やまなかかくされた世界せかい」など、好奇こうきしんをかきたてる要素ようそかずおお登場とうじょうします。

 一見いっけんすると、山奥やまおくでの不思議ふしぎ体験たいけんえがいた単純たんじゅんなおはなしのようにおもえますが、その背景はいけいには地域ちいき歴史れきし人々ひとびとらし、自然しぜんへの畏敬いけいねんなどがめられており、日本にっぽん民俗みんぞくがく世界せかいかんいろ反映はんえいされています。

 どもたちにとっては冒険ぼうけんしん想像そうぞうりょくそだむきっかけとなり、大人おとなにとっても郷土きょうど文化ぶんかがかりとなります。

 また、「世界せかいへのまよみ」や「約束やくそくやぶった結果けっかどうなるか」という普遍ふへんてき教訓きょうくんふくまれているため、なにかをふかかんがえさせられることから、教育きょういくてき価値かちたかいといえます。

 そして、わるころには、きっとあなたも『かくれさとのふしぎ』のおくぶかさに魅了みりょうされていることでしょう。

 この記事きじつうじて、たんなる「むかしばなし紹介しょうかい」ではなく、家庭かてい学校がっこう地域ちいきをつなぐ文化ぶんか資源しげんとして、きっと『かくれさとのふしぎ』を活用かつようできるヒントをられるはずです。

 さあ、岩手県いわてけん山奥やまおくつたわるゆたかな民話みんわ文化ぶんかれながら、世代せだいへとぐための一歩いっぽとして、『かくれさとのふしぎ』の不思議ふしぎ世界せかい一緒いっしょさぐってみましょう!

 かつてテレビで一大いちだいブームをつくった『まんが日本にっぽんむかしばなし』が、二見ふたみ書房しょぼうより二見ふたみサラ文庫ぶんことして刊行かんこう。「かくれさとのふしぎ」のおはなしは『まんが日本にっぽんむかしばなし だい28かん』のなか収録しゅうろくされています。

 『日本にっぽん民話みんわ 8 (乱世らんせきる)』は、角川かどかわ書店しょてんから出版しゅっぱんされています。日本にっぽん代表だいひょうする児童じどう文学ぶんがく作家さっか松谷まつたにみよさんと民話みんわ研究けんきゅう瀬川せがわ拓男たくおさん、そして作家さっか辺見へんみじゅん(清水しみず真弓まゆみ)さんが編纂へんさんした、日本にっぽん民話みんわシリーズのだい8かんです。だい8かんでは、戦乱せんらん動乱どうらん時代じだい背景はいけいに、勇気ゆうき知恵ちえ、そして人間にんげんのたくましさで困難こんなんえる民話みんわ数々かずかずが41ぺんおさめられています。「うさぎとくま」「山姥やまんば姉弟きょうだい」「わらしべ殿とのさま」など、乱世らんせい背景はいけいにした物語ものがたりは、歴史れきしあらなみなかきる人々ひとびとのたくましさをつたえ、過去かこ現在げんざいつなつなはしとなり、「きるかぬか」「かくれさとのふしぎ」といった物語ものがたりは、極限きょくげん状態じょうたいでの人間にんげん選択せんたくきずなえがいているため、現代げんだいきるわたしたちのこころつよ印象いんしょうのこし、ふか共感きょうかんびます。270ページにわたり、乱世らんせいいた先人せんじんたちの物語ものがたりつうじて、祖先そせん智慧ちえ精神せいしん現代げんだいひびき、“きるちから”をおしえてくれる一冊いっさつです。

 『岩手いわて民話みんわ ([新版しんぱん]日本にっぽん民話みんわ 2)』は、未來社みらいしゃから出版しゅっぱんされています。 『遠野物語とおのものがたり』に代表だいひょうされるように、日本にっぽんなかでも民話みんわゆたかにのこ地方ちほうとして、ふるくから関心かんしんをひいていたのが岩手県いわてけんです。 それは、岩手県いわてけんきょうみやこ中心ちゅうしんとした中央ちゅうおう文化ぶんかから隔絶かくぜつされたきびしい地勢ちせいであるため、独自どくじ文化ぶんかしてきこととおおきく関係かんけいしています。そのきびしくもうつくしい自然しぜんと、なが歴史れきしなかはぐくまれた文化ぶんか民話みんわは、まるで祖先そせんからのおくもののように、現代げんだいきるわたしたちのこころにもふかひびきます。岩手県いわてけん山々やまやまかわ集落しゅうらくらしのなかかたがれてきた、きびしくもうつくしい自然しぜんす「八郎はちろう太郎たろう」「カッパのふち」「かくれさと」「オオカミいし」「山伏やまぶしいし」など、なつかしさと新鮮しんせんさ、力強ちからづよさとあたたかさが共存きょうそんする独特どくとく民話みんわが39へん収録しゅうろくされています。

 オンデマンドばん岩手県いわてけん民話みんわ (県別けんべつふるさとの民話みんわ)』は、偕成社かいせいしゃより出版しゅっぱんされています。民俗みんぞく学者がくしゃ柳田やなぎた國男くにお先生せんせいが、岩手県いわてけん遠野とおの地方ちほう収集しゅうしゅうした説話せつわ民話みんわなどを収録しゅうろくした作品さくひんが『遠野物語とおのものがたり』です。『遠野物語とおのものがたり』をんだ岩手県いわてけんは、おに妖怪ようかい動物どうぶつたち、そして人々ひとびとらしがぜられた、こころあたたまる物語ものがたり不思議ふしぎ伝説でんせつ民話みんわ宝庫ほうこです。「おに手形てがた」「大工だいく鬼六おにろく」「こぶとりじい」「ちっちの」「山伏やまぶしいし」「こんび太郎たろう」など、素朴そぼくあたたかいざわりのえらびぬいたおはなしばかり36ぺん収録しゅうろくされています。山々やまやまかわさと風景ふうけいなど、ページをめくるたびに、物語ものがたり情景じょうけいあざやかにかびがり、まるで岩手県いわてけん里山さとやまあしれたかのような臨場りんじょうかんあじわうことができるいっさつです。

あらすじ

 むかしむかし、陸奥国むつのくに和賀わが赤沢山あかざわやまは、「黄金おうごんれる」といううわさがありました。

 そのうわさしんじた赤沢山あかざわやまふもとふたおとこが、黄金おうごんてたいと赤沢山あかざわやまはいってきました。

 ふたおとこうちひと年配ねんぱい女房にょうぼうどもがいましたが、もうひとはまだわかひとでした。

 ある、いつものようにふたおとこは、やまはいって黄金おうごんさがしていました。

 作業さぎょうちゅうわかおとこは、きゅうはらいたくなったので、やま小屋ごやよこになり、やすむことにしました。

 すこやすみをったおかげで、体調たいちょうはとてもくなり、わかおとこがってお茶ちゃんでいました。

 すると、やま小屋ごやたたおとこえてきました。

 ドンドンドン
 ドンドンドン

 わかおとこけると、そこにはうつくしいわかおんなっていました。

 おんなかみくろくてながく、まるでよるかわながれのようでした。

 そして、にはほしのようなかがやきがありました。

 「おまえは、こんな山奥やまおくなにをしているんだ」
わかおんなわかおとこたずねました。

 わかおとこおどろきながらも、
 「このやまには黄金おうごんれるといううわさがあるので、やますすめて黄金おうごんさがしている」
わかおんなこたえました。

 わかおんな微笑ほほえみ、わかおとこって、
 「わたし黄金おうごんれる場所ばしょっているよ」
いました。

 そして、わかおんなは、
 「また明日あしたるね」
わかおとこって、そのってきました。

 翌日よくじつわかおとこは、
 「まだ具合ぐあいくならないから、今日きょう仕事しごとやすませてしい」
年配ねんぱいおとこつたえ、小屋こやわかおんなつことにしました。

 年配ねんぱいおとこ作業さぎょうかけ、しばらくすると、昨日きのうわかおんな小屋こやあらわれました。

 わかおんなは、さけさかななどをたくさんってきていました。

 ふたさけわしながら、たのしい時間じかんごしていました。

 そこに、作業さぎょう必要ひつよう道具どうぐわすれて、小屋こやりにもどってきた年配ねんぱいおとこあらわれました。

 「これは一体いったいどういうことだ」
年配ねんぱいおとこふたといただすと、
 「そんなにおこらないで。おまえさんも一杯いっぱいどうですか」
わかおんなさけすすめ、年配ねんぱいおとこをなだめました。

 そして、
 「わたし黄金おうごんのあるところっているよ。そこをりたければ、わたしのおねがいをいて」
わかおんなふたおとこいました。

 ふたおとこうなずくと、
 「わたしには、30さいになるが、いまだにひと伯母おばがいます。わたしはこちらのわか男性だんせい結婚けっこんするので、そちらの男性だんせいわたし伯母おば結婚けっこんしてください。そして、このわたしたちと一緒いっしょらしてください」
わかおんなふたおとこつたえました。

 わかおんなは、
 「また明日あしたもここにるので、それまでにかんがえておいてね」
ふたおとこつたえ、そのってきました。

 そのよるふたおとこはよくはないました。

 わかおとこは、黄金おうごんしかったので、このはなしけることにしました。

 しかし、年配ねんぱいおとこは、さとのこした女房にょうぼうどもがいたので、とてもなやみました。

 でも、やはり黄金おうごんしいので、年配ねんぱいおとこもこのはなしけることにしました。

 翌朝よくあさわかおんな小屋こやにやってました。

 「あなたたちと一緒いっしょにここでらすので、黄金おうごんのありかをおしえてしい」
ふたおとこは、わかおんなつたえました。

 わかおんなうれしそうなかおをしてうなずき、ふたおとこれてやまおくへとあるはじめました。

 しばらくあるくと、やまおくとはおもえないほど立派りっぱ屋敷やしきあらわれました。

 屋敷やしきもんまえでは、わかおんな伯母おばふたおとこむかえてくれました。

 このから、ここでにんゆめのような日々ひびごしました。

 しかし、しばらくすると年配ねんぱいおとこは、さとのこしてきた女房にょうぼうどものことばかりかるようになりました。

 そこで、ある年配ねんぱいおとこは、
 「さとのこしてきた女房にょうぼうどもが、きっとワシのことを心配しんぱいしている。女房にょうぼうどもがこまらないよう黄金おうごんわたしたい。そうしたらまたやまもどってるから、さと一旦いったんかえらせてくれ」
伯母おばいました。

 すると、伯母おばさわ指差ゆびさし、
 「さわくだったさきほおがある。黄金おうごんはそのほお根元ねもとまっている」
年配ねんぱいおとこいました。

 それをいたふたおとこは、早速さっそく黄金おうごんりにさわへとかいました。

 ふたおとこさわくだり、ほおつけると、その根元ねもとはじめました。

 すると、伯母おばっていたとおり、たくさんの黄金おうごんてきました。

 ふたおとこ黄金おうごんふくろめ、それをうと、おおよろこびでやまくだはじめました。

 やまくだっているとき年配ねんぱいおとこわかおとこかってこういました。

 「黄金おうごんれたので、ワシはもうこのやまもどってくるはない。あのふたおんな妖怪ようかいだ。おとこ破滅はめつへとみちび魔性ましょうおんなだ。このままあそこにいたら、きっとワシらはわれてしまう」

 それをいたわかおとこは、
 「それが本当ほんとうならば、オレもやまにはもどらない」
いました。

 その瞬間しゅんかん不思議ふしぎなことにふたおとこった黄金おうごんふくろかるくなりました。

 ふたおとこは、ふくろかるくなったことを不思議ふしぎおもい、ふくろけて中身なかみ確認かくにんしてみると、ふくろなか黄金おうごんはただのつちわっていました。

 あわててふたおとこほお根元ねもとにまでもどり、ふたたびそこをってみましたが、もう黄金おうごんはありませんでした。

 そして、山奥やまおくさがしてみましたが、ふたおとこごした屋敷やしきもなければ、おんな姿すがたあたりませんでした。

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解説

 『かくれさとのふしぎ』は、岩手県いわてけん和賀郡わがぐん赤沢山あかざわやま舞台ぶたいにした民話みんわで、地域ちいき歴史れきし文化ぶんかいろ反映はんえいしています。

 和賀郡わがぐん風土ふうど黄金おうごん伝説でんせつ背景はいけいは、この物語ものがたり神秘しんぴせいふかめる重要じゅうよう要素ようそです。

 ここでは、和賀郡わがぐん歴史れきし文化ぶんか解説かいせつし、『かくれさとのふしぎ』がまれた背景はいけいさぐります。

 和賀郡わがぐんは、岩手県いわてけん西部せいぶ位置いちし、ゆたかな自然しぜん歴史れきし地域ちいきです。

 平安へいあん時代じだいから鎌倉かまくら時代じだいにかけて、和賀郡わがぐん在地ざいち豪族ごうぞく農民のうみんらしをいとな場所ばしょでした。

 山間さんかん位置いちするため、林業りんぎょう農業のうぎょうおも産業さんぎょうで、赤沢山あかざわやまはじめとする山々やまやまは、資源しげんだけでなく神秘しんぴてき信仰しんこう対象たいしょうでもありました。

 赤沢山あかざわやまには、黄金おうごんねむるという伝説でんせつふるくから存在そんざいし、これが『かくれさとのふしぎ』の物語ものがたり基盤きばんとなっています。

 黄金おうごん伝説でんせつは、和賀郡わがぐん人々ひとびと自然しぜんめぐみや未知みちちからいだいた畏敬いけいねん象徴しょうちょうしています。

 『かくれさとのふしぎ』に登場とうじょうする「黄金おうごんさと」や「なぞむすめ」は、和賀郡わがぐん自然しぜん崇拝すうはい精霊せいれい信仰しんこうむすびついています。

 日本にっぽん民話みんわでは、やまもり神霊しんれい宿やどるとされ、和賀郡わがぐんでもこうした信仰しんこういていたとかんがえられます。

 『かくれさとのふしぎ』は、約束やくそくよくをテーマにしつつ、地域ちいき価値かちかんらしを反映はんえいしています。

 約束やくそくまも大切たいせつさや、よくによる破滅はめつは、きびしい自然しぜん環境かんきょうなかきる人々ひとびと教訓きょうくんとして、これからもかたがれていくことでしょう。

 さて、『かくれさとのふしぎ』のような地域ちいきざした民話みんわは、たんなる物語ものがたりにとどまらず、地域ちいきのアイデンティティを形成けいせいし、観光かんこう教育きょういく文化ぶんか振興しんこうする“きた文化ぶんか資源しげん”として活用かつようすることができます。

 民話みんわは、地域ちいきごとの自然しぜん風土ふうど信仰しんこう歴史れきし密接みっせつかかわって形成けいせいされた、無名むめいかたたちによる“共有きょうゆう記憶きおく”であります。

 とくに、岩手県いわてけんふく東北とうほく地方ちほうでは、自然しぜんきびしさや山岳さんがく信仰しんこう神秘しんぴせいむすびついた伝承でんしょうおおく、民話みんわたんなる娯楽ごらくではなく「土地とち哲学てつがく」としてかたがれてきた。

 『かくれさとのふしぎ』もそのれいれず、赤沢山あかざわやまはじめとする和賀わが地方ちほう地理ちり信仰しんこう生活せいかつ感覚かんかく色濃いろこ反映はんえいされた物語ものがたりであり、地域ちいきそのものを象徴しょうちょうする文化ぶんかてきテキストとしてあつかうことができるとかんがえます。

 『かくれさとのふしぎ』は、物語ものがたりとしての完成かんせいだけでなく、地域ちいき文化ぶんか象徴しょうちょう教育きょういく資源しげん観光かんこう資源しげん、そしてデジタル時代じだい情報じょうほう発信はっしんツールとしても活用かつようできる、多面ためんてき価値かちった民話みんわです。

 『かくれさとのふしぎ』は、かせや家庭かてい学習がくしゅう活用かつようする伝承でんしょうばなしにとどまらず、教育きょういく現場げんば地域ちいき文化ぶんか活動かつどうでも活用かつようできる素材そざいです。

 つまり、『かくれさとのふしぎ』を地域ちいき未来みらいにな文化ぶんか資産しさんとして位置いちづけ、物語ものがたり教訓きょうくん地域ちいきせいかせば、国語こくご社会しゃかい道徳どうとく学習がくしゅうだけでなく、地域ちいき文化ぶんか継承けいしょう観光かんこう振興しんこうにもつなげることが期待きたいできます。

 具体ぐたいてき活用かつよう事例じれいをご提案ていあんさせていただきます!

 岩手県いわてけん和賀郡わがぐん地域ちいきおこしご担当たんとうしゃさま遠慮えんりょなくご連絡れんらくください(笑)

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感想

 「かくれさと」とは、日本にっぽん各地かくち民話みんわ伝説でんせつ登場とうじょうする、不思議ふしぎかくれたむら理想りそうきょうします。

 そこは外界がいかいから隔絶かくぜつされ、ゆたかで平和へいわ生活せいかついとなまれているとされます。

 しかし、おおくのはなしでは、おとずれたものきんやぶったり、よくしたりすると、ふたたびその場所ばしょくことはできなくなります。

 『かくれさとのふしぎ』もその典型てんけいで、欲望よくぼう約束やくそくやぶりがさと消滅しょうめつまね結末けつまつとなっています。

 物語ものがたり舞台ぶたいである赤沢山あかざわやまは、ふるくから鉱山こうざん資源しげん豊富ほうふやまとしてられています。

 とく江戸えど時代じだいにはきん採掘さいくつおこなわれた記録きろくのこり、「黄金おうごんねむやま」というつたえがひろまりました。

 こうした実際じっさい鉱山こうざん民話みんわ融合ゆうごうし、「黄金おうごんつちわった」という象徴しょうちょうてきなモチーフがまれたとかんがえられます。

 『かくれさとのふしぎ』は、岩手県いわてけん出身しゅっしん民俗みんぞく学者がくしゃ佐々木ささき喜善きぜん収集しゅうしゅうした昔話むかしばなしぐんなかにもたような内容ないようのおはなしられます。

 佐々木ささきは、柳田やなぎた國男くにお折口おりぐち信夫しのぶとも交流こうりゅうがあり、岩手県いわてけん伝承でんしょう精力せいりょくてき記録きろく出版しゅっぱんしました。

 そのため、『かくれさとのふしぎ』のようなおはなしは、地域ちいきかたから直接ちょくせつり、文字もじとしてのこされた可能かのうせいたかいといえます。

 『かくれさとのふしぎ』の根底こんていには、「ひとよくられると大切たいせつなものをうしなう」という普遍ふへんてき教訓きょうくんがあります。

 黄金おうごんつちわってしまう結末けつまつは、物質ぶっしつてき価値かちよりも約束やくそく信義しんぎまもることの重要じゅうようせいつたえています。

 また、「かくれさと」とばれる理想りそうきょうふたたあらわれない設定せっていは、うしなわれた機会きかい可逆かぎゃくせい象徴しょうちょうしています。

 「かくれさと」や「かくむら」のおはなしは、全国ぜんこく各地かくち存在そんざいします。

 たとえば熊本県くまもとけんの「かみかくむら」や長野県ながのけんの「かくさと伝説でんせつ」なども、外部がいぶ人間にんげん一時いちじてき異界いかいまよむというてん共通きょうつうしています。

 これは日本にっぽんに各地かくち共有きょうゆうされてきた「境界きょうかいえるおそれ」や「異界いかいとの接触せっしょく」にかんする文化ぶんかてき感覚かんかく反映はんえいしているとかんがえられます。

 現代げんだいにおいても、『かくれさとのふしぎ』のようなむかしばなしは、おおくの人々ひとびとうったえかけるちからっています。

 「世界せかいとの邂逅かいこう」「いちたものの代償だいしょう」といった要素ようそは、ファンタジーやSFとばれる現代げんだいのフィクションにも共通きょうつうして登場とうじょうし、普遍ふへんてきなテーマとしてつづけています。

 また、『かくれさとのふしぎ』をつうじて、「世界せかいとはなにか」「かえ場所ばしょとはなにか」という哲学てつがくてきいにも自然しぜんうことになります。

 『かくれさとのふしぎ』は、異郷いきょう訪問ほうもんたんむかしばなしという日本にっぽん民話みんわ普遍ふへん構造こうぞう忠実ちゅうじつぎながら、岩手県いわてけん和賀わが地方ちほう風土ふうどてき文化ぶんかてき要素ようそたくみにみ、唯一ゆいいつ無二むに物語ものがたりへと昇華しょうかしています。

 だからこそ『かくれさとのふしぎ』は、時代じだいえてかたがれ、がれていく価値かちがあるのでしょう。

まんが日本昔ばなし

『かくれさとのふしぎ』
放送日: 昭和52年(1977年)09月03日
放送回: 第0160話(0099 Aパート)
語り: 市原悦子・(常田富士男)
出典: 『日本にっぽん民話みんわ 8 (乱世らんせきる)』 瀬川せがわ拓男たくお松谷まつたにみよ辺見へんみじゅん (角川かどかわ書店しょてん)
演出: 矢沢則夫
文芸: 沖島勲
美術: 内田好之
作画: 矢沢則夫
典型: 異郷訪問譚いきょうほうもんたん
地域: 東北地方(岩手県)

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最後に

 今回こんかいは、『かくれさとのふしぎ』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 岩手県いわてけん和賀郡わがぐん歴史れきし文化ぶんかは、現代げんだいでも史跡しせき観光かんこうつうじてかんじられ、『かくれさとのふしぎ』の舞台ぶたいおとずれることで、物語ものがたり背景はいけいをよりふか理解りかいすることができます。和賀郡わがぐん歴史れきしることは、岩手いわて民話みんわをよりふか味わあじわかぎとなるでしょう。ぜひれてみてください!

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