
欲をかくと、ろくなことがない
『かもとりごんべえ』は、欲張りな猟師・権兵衛が、楽をして一度にたくさんの鴨を捕まえようと奮闘するが、欲が災いして失敗する、欲張りの末路をコミカルに描いた日本の昔話の傑作です。
今回は、『かもとりごんべえ』のあらすじと解説、感想、おすすめ絵本などをご紹介します!
概要
『かもとりごんべえ』は、江戸時代あたりから関西地方に属する和歌山県や、九州地方に属する熊本県など、日本各地で語り継がれてきた民話です。
主人公の権兵衛が、100羽の鴨にぶら下がって空を飛んだり、巨大な粟を収穫しようとしてふっ飛ばされたり、傘を持っていると突風が吹き空を飛んだりするなど、とにかくあり得ないことを、面白おかしく描いた笑い話が『かもとりごんべえ』です。
お話の内容は、地域ごとに異なるバリエーションが存在しますが、猟師の権兵衛による冬の鴨猟の風習を基にしています。
『かもとりごんべえ』は、猟師・権兵衛の滑稽な失敗を通じて、欲の落とし穴を軽快に教えています。
愉快な物語が、現代を生きる私たちに“ほどほど”の大切さを気づかせてくれます。
絵本 『かもとりごんべえ (復刊・日本の名作絵本 6)』は、岩崎書店から出版されています。堀尾青史さんの軽快な語り口調の文は、子どもにも親しみやすいです。そして、福田庄助さんによるサラシ布に描かれた絵は、独特の雰囲気があり、どこか懐かしい日本の田舎が生き生きと表現されていて、土の匂いまで伝わるような温かさが物語を鮮やかに彩ります。主人公の権兵衛に、次々と起こる奇想天外なハプニングが、スピーディーに展開し、ページごとにワクワクします。絵本で描かれている権兵衛の失敗は、欲の先に潜む教訓を教えています。しかし、失敗しても憎めない権兵衛の姿に、人生の軽やかな向き合い方を見ることができます。言葉のリズムがとても良く、方言が読んでいて心地良いので、声に出して読むと楽しさが倍増します。親子で読むことで、笑いと知恵を共有できる絵本です。 絵本 『かもとりごんべえ (むかしむかし絵本 19)』は、ポプラ社から出版されています。昭和43年(1968年)に刊行された「むかしむかし絵本」シリーズは、内容もさることながら、丁寧な造本と厚手の紙質、鮮やかな色使いが魅力で、図書館の読み聞かせや書評サイトで高い評価を受けています。文を担当した西郷竹彦さんの一人称で語る手法は、とても斬新で、まるで口承の語り部のようです。そこに、瀬川康男さんによる、日本画の影響を受けた、温かみのある柔らかくて優しいタッチと鮮やかな色彩で描かれた絵が融合したことで、ページをめくる度に、まるで自分が昔話の中に迷い込んだような没入感を与えてくれます。笑いの中にそっと伝えている、「欲をかきすぎない」という教訓が心に残る一冊です。 『かもとりごんべえ (ゆかいな昔話50選)』は、岩波書店から出版されています。民話研究者の稲田和子さんが、日本各地を訪ね歩き、古老たちから直接聞き取り、丁寧に集めたユーモラスな昔話が50篇収録されています。「ねずみ経」「とろかし草」「うばすて山」など、方言の味わいを活かした軽快な語り口が特徴で、笑いだけではなく、日本の地域文化や先人の知恵を伝え、読み手に温かい気持ちを与えてくれます。また、表題作の「かもとりごんべえ」をはじめ、「頭にはえた木の話」「たのきゅう」「長い名の子」など、落語との繋がりを感じる昔話も多く収録され、落語ファンにとってもそのルーツを探る楽しみがあります。昔話を通じて、日本の地域文化や先人の知恵を、丁寧に次世代に伝える重要な役割を果たすと共に、単なる昔話集にとどまらず、方言を交えながら笑いと地域の文化を融合させたユニークな一冊となっています。あらすじ
むかしむかし、あるところに、鴨をとって暮らしている権兵衛という猟師がいました。
ある年の冬の夜、権兵衛は裏山の池に行ってみたら、仕掛けておいた罠に、数え切れないほどの鴨がかかっていました。おまけに池には氷が張っているので、鴨たちは動けずにいました。
権兵衛は大喜びで、凍り付いた鴨一羽一羽の罠の縄を集め始めました。そうして九十九羽の鴨の縄を集めましたが、朝となり太陽が昇ると、凍っていた鴨が目を覚まし、バタバタバタと一斉に空へと飛び立ちました。それと一緒に、権兵衛も鴨たちに引っ張られて空へ舞い上がりました。
権兵衛は必死に縄につかまっていたが、やがて力尽きて縄から手を放し真っ逆さまに落ちてしまいました。落ちた所は粟畑の真ん中でした。そこでは、ちょうどお百姓さんが粟の刈り入れをしているところだったので、権兵衛はしばらくそこで働くことにしました。
そんなある日、粟畑で刈り入れをしていると、三本だけ特別に大きな穂をつけた粟がありました。大きな穂をつけた粟の茎に鎌を入れたところ、茎が勢いよく跳ねて、権兵衛は吹っ飛ばされてしまいました。
畑を越え、山を越え、落ちた所は、見知らぬ町の傘屋の軒先でした。その傘屋で権兵衛はしばらくで働くことにしました。
ある日、傘を庭に干していると、突風が吹き権兵衛は傘ごと飛ばされてしまいました。権兵衛は傘につかまって飛んでいると、とても大きな風が吹き、その勢いで傘が裏返しになってしまい、権兵衛は池の中に落っこちました。
そこは権兵衛が住む家の裏山にある池でした。池から出てきた権兵衛の股引の中には、ドジョウが百匹入っていました。権兵衛は大喜びでした。
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解説
『かもとりごんべえ』は、笑いを目的とした単純な散文形態の昔ばなしと捉えられ、「欲張ってはいけない」とする教訓が広く受け入れられています。
しかし、『かもとりごんべえ』は、そのような教訓よりも、何かもっと別の意味を後世に伝えたいという普遍性を有した昔ばなしではないかと感じて仕方ありません。
そもそも「欲張る」というのは、自分の身の丈に合わないものや他人のものまで欲しがることです。でも、『かもとりごんべえ』には、そのような事象は描かれていません。
『かもとりごんべえ』は“欲”を題材にしていますが、それは「欲張る」ではなく、「欲深さ」を描いたお話ではないでしょうか。
つまり、「転んでも、ただでは起きない」という、転んだことで何かをつかみ、そして目覚めて欲しいと願う、良い意味としての“欲”を描いたお話ということです。
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感想
誰もが、なるべく失敗せずに、着実にうまくいく人生を歩みたいと思っていることでしょう。でも、実際には、計画通りに物事が運ぶとは限りません。むしろ、その通りにならないことの方が多いのではないでしょうか。
アタマで考える行為は、いくらでも、いつまでもできます。しかし、考えれば考えるほど、考えていた計画からは遠ざかっていくように感る方も多いのではないでしょうか。
それは、たぶん考えてもキリがないからです。キリのないものを際限なく追いかけてもメドが立たないので、その内に迷子になってしまい、かえってコジらせてしまうからです。
それならば、アタマで考えるのを一旦やめて、一歩、踏み出してみてはいかがでしょうか。なぜならば、人間は考えたようにはならず、動いたようになるからです。
考えて行動し、行動した結果を振り返り、また行動する。そうすれば現実が分かります。嬉しかったり、悲しかったり、楽しかったり、悔しかったり、とにかく視界が開けるので、次につながる“ひらめき”がきっと見つかるはずです。
人生の目的は行動することであり、知識や思想ではありません。行動しなければ、どう転ぶかも分かりません。
人生には何ひとつ無駄なものはありません。つまり、人生はどう転んでも同じだということです。それならば、積極的に行動を起こして、人生を思いっ切り楽しもうじゃありませんか!
「人生はどう転んでも楽しくて仕方がないもの」ということを、『かもとりごんべえ』は私たちに伝えたいのではないでしょうか。
まんが日本昔ばなし
『かもとりごんべえ』
放送日: 昭和51年(1976年)04月17日
放送回: 第0050話(第0028回放送 Bパート)
語り: 市原悦子・(常田富士男)
出典: 表記なし
演出: 小華和ためお
文芸: 沖島勲
美術: 宮野隆
作画: 金沢比呂司
典型: 笑話
地域: 九州地方(熊本県)
『かもとりごんべえ』は「DVD-BOX第3集 第13巻」で観ることができます。
最後に
今回は、『かもとりごんべえ』のあらすじと解説、感想、おすすめ絵本などをご紹介しました。
現代のように気軽に旅行ができなかった昔の人たちにとって、空を飛んでは知らない土地に降り立つ、『かもとりごんべえ』の主人公である権兵衛さんは、憧れの人物像だったことでしょう。ぜひ触れてみてください!










































