雀とキツツキの羽はどうしてあんな色なんでしょう。山鳩はどうしてあんな鳴き声なんでしょう。『雀とキツツキと山鳩』は、鳥の習性や形態の由来を説いた物語です。
今回は、『雀とキツツキと山鳩』のあらすじと解説、感想、おすすめ絵本などをご紹介します!
概要
前半が『雀とキツツキ』、後半が『山鳩』の二話構成になっています。
両話とも“子が親を想う気持ち”を題材にした内容のお話です。
雀とキツツキ
『雀とキツツキ』は、「雀とキツツキの羽はどうしてあの様な色になったのか」と、「雀はお米が餌なのに、なぜキツツキは木の中の小さな虫が餌なのか」という、雀とキツツキの習性や形態の由来を説いたお話です。
日本全国に広く伝わる昔話で、さまざまな類話が存在します。姉をキツツキではなくツバメとするものやカワセミとするお話が存在します。
山鳩
『山鳩』は、日本では古くから『雨蛙不孝』または『鳶不孝』と呼ばれている民話です。
山鳩はどうしてあんな鳴き声なのかという、山鳩の習性や形態の由来を説いたお話です。
このお話では山鳩が登場しますが、蛙や鳶、それ以外にもフクロウや天邪鬼などが登場する類話が日本全国に広く存在します。
あらすじ
前半が『雀とキツツキ』、後半が『山鳩』の二話構成になっています。
雀とキツツキ
むかしむかし、姉と妹がおりました。
姉はキツツキ、妹はスズメという名前でした。姉は、わがままで欲張りでした。妹は、親切で働き者でした。
ある日、奉公に出ていたキツツキとスズメのところに「チチキトク」の知らせがありました。
妹のスズメはまだ染めていない白い反物を大急ぎで着物に仕立て、道中泥んこになりながら父の元へ急ぎました。
姉のキツツキは、父よりも綺麗な着物を仕上げることを優先し、父が死んだ後にようやくやってきました。
父の死を悲しむスズメに、キツツキは綺麗な着物を自慢します。
そこへ神様が現れ、
「孝行者のスズメは米を食べるように。親不孝なキツツキは木をつついて虫を食べるように」
と言いました。
それからというもの、スズメは泥んこの茶色い姿ですが美味しい米を食べ、キツツキは綺麗な色と模様ですが餌をとるのに苦労するようになりました。
山鳩
むかしむかし、あるところに人に言われたことの反対をやる、へそ曲がりな男がおりました。
父親は、そんな息子を心配するあまり病気になってしまいました。
父親は、自分が死んだら山に埋めてもらいたいと願っていました。
でも、山と言えば息子は川に埋めることでしょう。そこで、反対のことを言うことにしました。
「私が死んだら川に埋めてくれ。山に埋めてはならぬぞ」 と言って、父親は死にました。
父親の死によって目が覚めた男は、改心して父親の言いつけを守ることにしました。
そうして、父親が考えたこととは逆になり、父親は川に埋められました。
しかし、その川は雨が降ると、すぐに水があふれ出すのでした。
父親のお墓もどうなるかわかりませんでした。
雨が止み、また雨が降る、その繰り返しですから男は畑仕事どころではありませんでした。
男はくたくたになりながら、
「もし鳥だったらすぐに飛んでいけるのに」
と言いました。
するとどうでしょう、男は気がついたら山鳩になって空を飛んでいたのでした。
それからというもの、山鳩は雨が少しでも降りそうになると、父親のことを心配して、「デデーポッポー」と鳴くようになったそうです。
解説
『雀とキツツキ』のお話は、『イソップ寓話』みたくシュールな内容のお話となっています。
そして『山鳩』のお話は、とても切ない内容です。
両話ともに、どこか海外の空気を感じ、なんともやり切れない辛い気持ちになる内容です。
『イソップ寓話集 (クラシックイラストレーション版)』は童話館出版から出版されています。何千年と語り継がれてきたお話は示唆に富んでいて飽きません。そこに過去150年間にイギリス、ヨーロッパ、アメリカで出版された素晴らしい挿絵の傑作が加わることで、さらに物語の魅力が増しています。何百もあるお話の中から精選した46篇が収録されています。感想
『雀とキツツキ』と『山鳩』の二つのお話の共通点は、「鳥の姿や習性の由来を語ったもの」であることと、「孝行は子の義務として重要なもの」という二点を説いていることです。
姿や習性の由来になぞらえて「前世での悪行が今生に通じる」ということ、そして「孝行は来世の幸福につながるもの」という、人生の教訓を昔話を通じてわかりやすく語り伝えています。
まんが日本昔ばなし
『雀とキツツキと山鳩』
放送日: 昭和50年(1975年) 03月11日
放送回: 第0019話(第0010回放送 Aパート)
語り: 市原悦子・常田富士男
出典: 表記なし
演出: 近藤英輔
脚本: 鈴木良武・(平見修二)
美術: 半藤克美(スタジオユニ)
作画: 金沢比呂司
典型: 動物昔話・由来譚・教訓譚
地域: 四国地方
『雀とキツツキと山鳩』は未DVD化のため「VHS-BOX第2集 第13巻」で観ることができます。
最後に
今回は、『雀とキツツキと山鳩』のあらすじと解説、感想、おすすめ絵本などをご紹介しました。
『雀とキツツキと山鳩』は、鳥の姿や習性の由来になぞらえて、「自分のやった『行い』が自分の『運命』を作る」ということを、昔話を通じてわかりやすく語り伝えています。ぜひ触れてみてください!