昔話『雀とキツツキと山鳩』のあらすじ・解説・感想|おすすめ絵本
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 スズメとキツツキのはねはどうしてあんないろなんでしょう。山鳩ヤマバトはどうしてあんなごえなんでしょう。『スズメとキツツキと山鳩ヤマバト』は、とり習性しゅうせい形態けいたい由来ゆらいいた物語ものがたりです。

 今回こんかいは、『雀とキツツキと山鳩』のあらすじと解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

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概要

 前半ぜんはんが『スズメとキツツキ』、後半こうはんが『山鳩ヤマバト』の二話にわ構成こうせいになっています。

 両話りょうわとも“おやおも気持きもちち”を題材だいざいにした内容ないようのおはなしです。

雀とキツツキ

 『スズメとキツツキ』は、「雀とキツツキのはねはどうしてあのよういろになったのか」と、「雀はおこめえさなのに、なぜキツツキはなかちいさなむしが餌なのか」という、雀とキツツキの習性しゅうせい形態けいたい由来ゆらいいたおはなしです。

 日本にっぽん全国ぜんこくひろつたわる昔話むかしばなしで、さまざまな類話るいわ存在そんざいします。あねをキツツキではなくツバメとするものやカワセミとするお話が存在します。

 

山鳩

 『山鳩ヤマバト』は、日本にっぽんではふるくから『雨蛙あまがえる不孝ふこう』または『とんび不孝ふこう』とばれている民話みんわです。

 山鳩ヤマバトはどうしてあんなごえなのかという、山鳩の習性しゅうせい形態けいたい由来ゆらいいたおはなしです。

 このお話では山鳩ヤマバト登場とうじょうしますが、かえるとんび、それ以外いがいにもフクロウや天邪鬼あまのじゃくなどが登場する類話るいわ日本にっぽん全国ぜんこくひろ存在そんざいします。

 

 

 絵本えほんすずめとあかげら』は文芸社ぶんげいしゃから出版しゅっぱんされています。鹿児島県奄美群島かごしまけんあまみぐんとう伝承でんしょうされている民話みんわもとづく絵本です。スズメのはねいろ由来ゆらいと、アカゲラがくさったにいるむしばかりべるようになった由来がかされています。

 絵本えほんアマガエル不孝ふこう』は文芸社ぶんげいしゃから出版しゅっぱんされています。鹿児島県奄美群島かごしまけんあまみぐんとうつたわる民話みんわもとにして創作そうさくされた絵本のだい2だんです。はたらもの母親ははおや息子むすこ溺愛できあいしているのに、息子はそんな親心おやごころらずに天邪鬼あまのじゃくばかり。親孝行おやこうこうおやおしえをまもることの大切たいせつさなどがえがかれています。

 現在げんざいは、新潮文庫しんちょうぶんこより出版されている『日本の昔話』は、日本人にっぽんじんはぐくんできた昔ばなしの数々を、民俗学者みんぞくがくしゃ柳田國男やなぎたくにお先生せんせい各地かくちからあつめてうつくしい日本語にっぽんご後世こうせいのこそうとした名著めいちょです。

奈良のむかし話』は日本標準にっぽんひょうじゅんから出版しゅっぱんされています。奈良県内ならけんない各地かくちつたわる昔話むかしばなしあじわいゆたかな言葉ことばでつづり、方言ほうげんによるかたりのおもしろさをいきいきと伝えています。「ツバクラとスズメ」のほかしょう中学生ちゅうがくせいから大人おとなまでたのしめる昔話が59へん収録しゅうろくされています。

 『日本昔話百選にほんむかしばなしひゃくせん』は、挿絵さしえがほとんどないため、文字もじばかりの一見いっけん面白おもしろくなさそうなほんですが、はじめるとすぐにむかしばなしの世界せかいまれます。方言ほうげん口調くちょうかれた文章ぶんしょうですが、方言ほうげん説明せつめいが書かれているなど、みやすい工夫くふうがされています。

あらすじ

 前半ぜんはんが『スズメとキツツキ』、後半こうはんが『山鳩ヤマバト』の二話にわ構成こうせいになっています。

雀とキツツキ

 むかしむかし、あねいもうとがおりました。

 姉はキツツキ、妹はスズメという名前なまえでした。姉は、わがままで欲張よくばりでした。妹は、親切しんせつはたらものでした。

 ある奉公ほうこうていたキツツキとスズメのところに「チチキトク」のらせがありました。

 妹のスズメはまだめていないしろ反物たんもの大急おおいそぎで着物きもの仕立したて、道中どうちゅうどろんこになりながらちちもといそぎました。

 姉のキツツキは、父よりも綺麗きれいな着物を仕上げることを優先ゆうせんし、父がんだあとにようやくやってきました。

 父の死をかなしむスズメに、キツツキは綺麗な着物を自慢じまんします。

 そこへ神様かみさまあらわれ、
 「孝行者こうこうもののスズメはこめべるように。親不孝おやふこうなキツツキはをつついてむしを食べるように」
と言いました。

 それからというもの、スズメは泥んこの茶色ちゃいろ姿すがたですが美味おいしい米を食べ、キツツキは綺麗ないろ模様もようですがえさをとるのに苦労くろうするようになりました。

山鳩

 むかしむかし、あるところにひとわれたことの反対はんたいをやる、へそがりなおとこがおりました。

 父親ちちおやは、そんな息子むすこ心配しんぱいするあまり病気びょうきになってしまいました。

 父親は、自分じぶんんだらやまめてもらいたいとねがっていました。

 でも、山と言えば息子はかわに埋めることでしょう。そこで、反対はんたいのことを言うことにしました。

 「私が死んだら川に埋めてくれ。山に埋めてはならぬぞ」 と言って、父親は死にました。

 父親の死によってめた男は、改心かいしんして父親の言いつけをまもることにしました。

 そうして、父親がかんがえたこととはぎゃくになり、父親は川に埋められました。

 しかし、その川はあめると、すぐにみずがあふれすのでした。

 父親のおはかもどうなるかわかりませんでした。

 雨がみ、また雨が降る、そのかえしですから男は畑仕事はたけしごとどころではありませんでした。

 男はくたくたになりながら、
 「もしとりだったらすぐにんでいけるのに」
と言いました。

 するとどうでしょう、男はがついたら山鳩ヤマバトになってそらんでいたのでした。

 それからというもの、山鳩は雨がすこしでも降りそうになると、父親のことを心配しんぱいして、「デデーポッポー」とくようになったそうです。

解説

 『スズメとキツツキ』のおはなしは、『イソップ寓話ぐうわ』みたくシュールな内容ないようのお話となっています。

 そして『山鳩ヤマバト』のお話は、とてもせつない内容です。

 両話りょうわともに、どこか海外かいがい空気くうきかんじ、なんともやりれないつら気持きもちになる内容です。

 『イソップ寓話集ぐうわしゅう (クラシックイラストレーションばん)』は童話館出版どうわかんしゅっぱんから出版しゅっぱんされています。何千年なんぜんねんかたがれてきたおはなし示唆しさんでいてきません。そこに過去かこ150年間ねんかんにイギリス、ヨーロッパ、アメリカで出版された素晴すばらしい挿絵さしえ傑作けっさくわることで、さらに物語ものがたり魅力みりょくしています。何百なんびゃくもあるお話のなかから精選せいせんした46ぺん収録しゅうろくされています。

感想

 『すずめとキツツキ』と『山鳩やまばと』の二つのおはなし共通点きょうつうてんは、「とり姿すがた習性しゅうせい由来ゆらいかたったもの」であることと、「孝行こうこう義務ぎむとして重要じゅうようなもの」という二点にてんいていることです。

 姿や習性の由来になぞらえて「前世ぜんせでの悪行あくぎょう今生こんじょうつうじる」ということ、そして「孝行は来世らいせ幸福こうふくにつながるもの」という、人生じんせい教訓きょうくん昔話むかしばなしを通じてわかりやすくかたつたえています。

まんが日本昔ばなし

すずめとキツツキと山鳩やまばと
放送日: 昭和50年(1975年) 03月11日
放送回: 第0019話(第0010回放送 Aパート)
語り: 市原悦子・常田富士男
出典: 表記なし
演出: 近藤英輔
脚本: 鈴木良武・(平見修二)
美術: 半藤克美(スタジオユニ)
作画: 金沢比呂司
典型: 動物昔話どうぶつむかしばなし由来譚ゆらいたん教訓譚きょうくんたん
地域: 四国地方

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 『スズメとキツツキと山鳩ヤマバト』はDVDのため「VHS-BOXだい2しゅう 第13かん」でることができます。

最後に

 今回こんかいは、『スズメとキツツキと山鳩ヤマバト』のあらすじと解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 『雀とキツツキと山鳩』は、とり姿すがた習性しゅうせい由来ゆらいになぞらえて、「自分じぶんのやった『おこない』が自分の『運命うんめい』をつくる」ということを、昔話むかしばなしつうじてわかりやすくかたつたえています。ぜひれてみてください!

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