昔話『猿地蔵』のあらすじ・内容解説・感想|おすすめ絵本
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 おじいさんがお地蔵じぞうさまの格好かっこうをしてはたけっていると、さる本物ほんもののお地蔵じぞうさまとおもみ、おそなえものをたくさんしてくれました。それをいたとなりのおじいさんもお地蔵じぞうさまのふりをしますが、偽物にせものだとバレてしまい、かわてられてしまいます。『さる地蔵じぞう』は、おなじみのむかしばなしです。

 今回こんかいは、『さる地蔵じぞう』のあらすじと解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

概要

 『さる地蔵じぞう』は、東北とうほく地方ちほうぞくする山形県やまがたけんつたわるおはなしです。

 こころやさしいおじいさんとよくぶかいおじいさんの対比たいひ鮮明せんめいえがかれ、やさしさや誠実せいじつさがむくわれる一方いっぽうよくられた行動こうどう失敗しっぱいわるという教訓きょうくんは、現代げんだいでもこころひびきます。

 また、インドを起源きげんとし、中国ちゅうごく日本にっぽんにもたらされ、平安へいあん時代じだい中期ちゅうき以降いこう地獄じごくおそれる風潮ふうちょうつよまったことにより、民衆みんしゅうあいだひろまったとされる地蔵じぞう菩薩ぼさつ信仰しんこうする「地蔵じぞう信仰しんこう」が根底こんていにあるおはなしです。

 絵本えほんさるじぞうほいほい (どもがはじめてであう民話みんわ 2)』は、ポプラしゃより出版しゅっぱんされています。テンポの大川おおかわ悦生えっせいさんのぶん梅田うめだ俊作しゅんさくさんのふわっとしたたのしく、最初さいしょから最後さいごまで、わらいっぱなしの絵本えほんです。残酷ざんこく場面ばめんがまったくない、王道おうどうむかしばなしです。

 絵本えほんさるじぞう (日本にっぽんみんわ絵本えほん)』は、ほるぷ出版しゅっぱんより出版しゅっぱんされています。鈴木すずき喜代春きよはるさんのリズミカルで簡潔かんけつぶん北島きたじま新平しんぺいさんのコミカルなたのしく、んでいてほのぼのとする絵本えほんです。監修かんしゅうした松谷まつたにみよさんの言葉ことばあじわいぶかいです。

 絵本えほんさるじぞう (みんなでよもう! 日本にっぽん昔話むかしばなし)』は、チャイルド本社ほんしゃより出版しゅっぱんされています。のひらサイズの絵本えほんです。こわせたまみさんのぶんたのしいのひとことです。西村にしむら達馬たつまさんのユーモラスなたのしく、とにかく面白おもしろ絵本えほんです。信心しんじんぶかさるたちのむかしばなしです。

あらすじ

 むかしむかし、あるところに、乱暴者あばれものさるたちにはたけらされてこまっているおじいさんとおばあさんがいました。

 お爺さんは、お地蔵じぞうさまの格好かっこうをして畑にてば、猿たちもわるさをやめるのではないかとかんがえ、お爺さんはお地蔵さんのふりをして畑に立ちました。

 猿たちは、お爺さんを本物ほんもののお地蔵さまだとおもみ、やまのおどうまつろうとお爺さんがけたお地蔵さまをかついではこはじめました。

 かわわたとき
 「さるのおしりらしても、地蔵じぞうしりらすなよ」
と猿たちが陽気ようきうたうので、お爺さんはおかしくてわらしそうになりましたが、じっと我慢がまんしました。

 やがて猿たちはお爺さんのお地蔵さまをお堂に運び、お賽銭さいせんとしてたくさんの小判こばんいておがむと、あっというにどこかへってしまいました。

 お爺さんは、小判をっていえかえり、今日きょうあった出来事できごとをお婆さんにはなしました。

 そのはなしいたとなり欲張よくばりなお爺さんとお婆さんは、それを真似まねして自分じぶんたちも小判をれようと考えました。

 翌日よくじつ、欲張りなお爺さんがお地蔵さまに化けて畑に立ちました。そこへまた猿たちがあらわれ、昨日きのうおなじように欲張りなお爺さんのお地蔵さまを担いで運び始めました。

 ところが、川を渡る時、
 「さるのおしりらしても、地蔵じぞうしりらすなよ」
と歌う猿たちの陽気なうたがあまりにおかしく、お爺さんは我慢できずに、笑い出してしまいました。

 お地蔵さまが人間にんげんだとかった猿たちは、おこって欲張りなお爺さんを川へほうげてしまいました。

 欲張りなお爺さんはきながら家に帰りました。

解説

 地蔵じぞう地獄じごくちてくるしみにあう死者ししゃを、地獄じごく入口いりぐち救済きゅうさいするとしんじられることから、地獄じごく入口いりぐち村境むらざかいにあてはめて、さかいかみ信仰しんこうむすびつきました。

 また、地獄じごくちるものは、子孫しそんをもたない無縁むえんれいであるとかんがえられ、未婚みこんのままんだひととされる場合ばあいおおいことから、地蔵じぞうどものれいむすびつき、地蔵じぞうどもの神様かみさまとする理解りかいつよくなったとかんがえられています。

 地蔵じぞう稚児ちご姿すがたあらわれたかとおもえば、『田植たうえ地蔵じぞう』のようにえなどの農耕のうこう手伝てつだいをしてくれたという伝説でんせつもあります。

 地蔵じぞうどもの病気びょうき安産あんざん守護しゅごしんとしてひろ信仰しんこうされるのは、このようなかんがかたもとづきます。

 さかいかみ同一どういつのものと考えることから、他界たかいとの境につとか、地蔵じぞうという文字もじが“大地だいち”を意味いみすることから地下ちかにいるというような理解りかいもあるため、この『さる地蔵じぞう』のように、主要しゅよう役割やくわりはたすことになりました。

感想

 『さる地蔵じぞう』は、おもしろいうえに、いおじいさんと欲張よくばりなお爺さんの対比たいひ表現ひょうげんまなぶことができることから、どもの学習がくしゅうめん勿論もちろんのこと、日本人にっぽんじん道徳どうとくしんはぐくむことができるむかしばなしです。

 他人たにんくらべることや競争きょうそうすることは否定ひていてきにとらえられますが、むしろそれこそが人間にんげん普遍ふへんてき心理しんりではないでしょうか。

 だからこそ、なにかをもとつづけるかたひとしあわせにしないということをこのおはなしおしえています。つまり、必要以上ひつよういじょうもとめないたけにあった生活せいかつこころがけることが大切たいせつだということです。

 また、わるさをするさるたちがおじいさんがけたお地蔵じぞうさんを一生いっしょう懸命けんめいおが姿すがたには、日本にっぽんにおける地蔵信仰じぞうしんこう垣間かいまることができます。

まんが日本昔ばなし

さる地蔵じぞう
放送日: 昭和51年(1976年) 01月31日
放送回: 第0033話(第0017回放送 Bパート)
語り: 常田富士男・(市原悦子)
出典: 表記なし
演出: 樋口雅一
文芸: 沖島勲
美術: 阿部幸次
作画: 上口照人
典型: 地蔵信仰じぞうしんこうとなり爺型じじがた呪宝譚じゅほうたん
地域: 東北地方(山形県)

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最後に

 今回こんかいは、『さる地蔵じぞう』のあらすじと解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 『さる地蔵じぞう』は、さるさえも信仰しんこうするという、日本にっぽんにおける地蔵じぞう信仰しんこう垣間かいまることができるおはなしです。ぜひれてみてください!

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