昔話『天福地福』のあらすじ・解説・感想|おすすめ絵本
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 『天福てんぷく地福ちふく』は、ってまれた福運ふくうんによりとみさずかるというおはなしです。福運にめぐまれるものと恵まれるない者のちがいがはっきりとけられています。ただし、福運に恵まれということは、その人物じんぶつ性格せいかく行動こうどうではなく、あくまでもてんの運によるものとお話は伝えています。

 今回こんかいは、『天福てんぷく地福ちふく』のあらすじと解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

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概要

 『天福地福てんぷくちふく』は、中部地方ちゅうぶちほう位置いちする新潟県にいがたけん中国地方ちゅうごくちほうに位置する山口県やまぐちけんつたわる民話みんわとされますが、東北地方とうほくちほうに位置する岩手県いわてけんにも類話るいわ存在そんざいすることから、日本海にほんかいめんした地域ちいきに広く分布ぶんぷするようです。

 昭和しょうわ18ねん(1943年)に三省堂さんせいどうより出版しゅっぱんされた岩倉市郎いわくらいちろうの『南蒲原郡みなみかんぱらぐん昔話集むかしばなししゅう』、それから昭和44年(1969年)に未來社みらいしゃより出版された松岡利夫まつおかとしおの『日本にっぽん民話みんわ 46 周防すおう長門ながと民話みんわ 第二集だいにしゅう』に収録しゅうろくされたことによって、日本中にっぽんじゅうひろられるようになりました。

 『てんぷくちふく (日本みんわ絵本)』は、ほるぷ出版しゅっぱんから出版しゅっぱんされています。正直者しょうじきもの不誠実ふせいじつものとの対比たいひがおもしろくえがかれています。現代げんだい社会しゃかいでは、正直しょうじきだけできていくことはむずかしいですが、「自分じぶんさえよければいい」といういまどきのひとたちの思考しこう幼稚ようちです。たくさんのどもたちにんでもらいたい絵本えほんです。

 『周防すおう長門ながと民話みんわ だい2しゅう ([新版しんぱん]日本にっぽん民話みんわ 46)』は、未來社みらいしゃから出版しゅっぱんされています。瀬戸せと内海ないかい日本海にほんかいめんした山口県やまぐちけんを、周防すおう地方ちほう長門ながと地方ちほうけ、「みょうがの宿やど」や「天福てんぷく地福ちふく」など、かた口調くちょうのおもしろさをかしたたのしい民話みんわが89へん郷土きょうどのわらべうたが収録しゅうろくされています。

あらすじ

 むかしむかし、あるところに正直しょうじきなおじいさんがいました。そしてとなりには欲張よくばりなお爺さんがんでいた。

 新年しんねんになり、
 「てんからふくさずかるとてもゆめた」
と正直なお爺さんは、隣の欲張りなお爺さんにはなしました。
 すると、隣の欲張りなお爺さんはくやしくて、
 「から福を授かる夢を見た」
と正直なお爺さんにうそいました。

 ある、正直なお爺さんがはたけ仕事しごとをしていると、お爺さんのくわさきなにかにたるおとがしました。ほりしてみると、なんと小判こばんがいっぱいまったかめてきました。
 正直なお爺さんは、
 「これは隣のお爺さんの言った“地から福”にちがいない、だからこれは隣のお爺さんのものだ」
と言って、小判のはいった甕を隣の欲張りなお爺さんにわたしました。

 しかし、隣の欲張りなお爺さんが甕をけると小判どころか、出てきたのはヘビの大群たいぐんでした。

 だまされたとおもい、はらてた隣の欲張りなお爺さんは、正直なお爺さんのいえ屋根やねがって、甕から出てきたヘビを天窓てんまどからほうげました。

 するとヘビは小判にもどりました。

 正直なお爺さんは、突然とつぜんってきた小判に、これこそ夢で見た“天から福”とよろこび、たいそうなお金持かねもちになり、いつまでも安楽あんらくらしたそうです。

解説

 あたらしいとしむかはじめてゆめには、その年がどのような年になるのかを夢をつうじて神様かみさまおしえてくれるものといわれ、ふるくから「初夢はつゆめ」とばれています。

 初夢が初めて文献ぶんけん登場とうじょうするのは、西行法師さいぎょうほうし歌集かしゅう山家集さんかしゅう』なので、平安時代へいあんじだい末期まっきにはその概念がいねんすで存在そんざいしていたようです。

感想

 現代げんだい社会しゃかいでは、正直しょうじきだけでなかわたっていくことは非常ひじょう困難こんなんです。

 ときには「正直者しょうじきもの馬鹿ばかる」こともあるし、むしろそういった場合ばあいほうおおいかもしれません。

 しかし、それでも「正直にきる」ことの大切たいせつさ、ひたむきさはわすれてはならないのです。

 それはじつうと、「いこと」は正直者にこるからです。

 正直に生きることによって精神的せいしんてき緊張きんちょうから解放かいほうされ、感情かんじょう安定あんていし、周囲しゅういひとたちといい関係かんけいたもつことができるようになります。

 つまり、『天福地福てんぷくちふく』は、自分じぶん本位ほんい身勝手みがってうそをついて上手うままわって生きるより、正直に生きる方があなたをつよ聡明そうめいにするということをいているのです。

まんが日本昔ばなし

天福地福てんぷくちふく
放送日: 昭和50年(1975年)02月25日
放送回: 第0016話(第0008回放送 Bパート)
語り: 市原悦子・常田富士男
出典: 表記なし
演出: 瀬古常時
脚本: 鈴木良武
美術: サキスタジオ
作画: 福原悠一
典型: となり爺型じじがた致富譚ちふたん
地域: 中部地方(新潟県)/中国地方(山口県)/東北地方(岩手県)

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最後に

 今回こんかいは、『天福地福てんぷくちふく』のあらすじと解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 共存共栄きょうぞんきょうえいという言葉ことばがありますが、古来こらいより日本人にっぽんじんは「他人たにん不幸ふこううえ自分じぶんしあわせをきずかない」を美徳びとくとしてきました。「自分さえければいい」とった一人ひとりだけの繁栄はんえいはありません。自他じたともきようとのぞむところに、共存共栄のはなひらきます。『天福地福』は、それをどもにもかりやすく説明せつめいしたおはなしです。ぜひれてみてください!

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