昔話『蛙の恩返し』のあらすじ・内容解説・感想|おすすめ絵本
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 「こまっているひとたすける」という、他人たにんたいして無償むしょうあたえた行為こういが、かぎりないつながりにより、めぐめぐって自分じぶんかえってくる物語ものがたりが『かえるおんがえ』です。

 今回こんかいは、『かえるおんがえ』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいします!

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概要

 『かえるおんがえ』は、『へび婿むこり』ともばれ、「へび人間にんげんおとこになって人間にんげんむすめ求婚きゅうこんする」という内容ないようつ、異類いるい婚姻こんいんたんぞくするむかしばなしです。

 東北とうほく地方ちほうぞくする岩手県いわてけん秋田県あきたけん福島県ふくしまけん中部ちゅうぶ地方ちほうぞくする新潟県にいがたけん静岡県しずおかけん近畿きんき地方ちほうぞくする兵庫県ひょうごけん中国ちゅうごく地方ちほうぞくする鳥取県とっとりけん四国しこく地方ちほうぞくする香川県かがわけん九州きゅうしゅう地方ちほうぞくする長崎県ながさきけん熊本県くまもとけんなど、日本にっぽん各地かくちひろ類似るいじのおはなしのこっています。

 『かえるおんがえ』は、伝承でんしょうされる地域ちいきによって細部さいぶちがいはありますが、おも展開てんかい以下いかのようなものです。

 とおりがかったおとこが、へびまれそうになったかえるたすけるため、自分じぶんむすめへびよめにするが、よめりする途中とちゅうむすめはヒョウタンとはりへび婿むこころす。

 また、この『かえるおんがえ』には変形へんけいがあり、

 とおりがかったおとこによって、へびかえるむことをめるかわりに、おとこむすめ婿むこになり、おとこむすめ病気びょうきにさせるが、六部ろくぶ姿すがたになってあらわれたかえるへび退治たいじする。

という内容ないようです。

 かつてテレビで一大いちだいブームをつくった『まんが日本にっぽんむかしばなし』が、二見ふたみ書房しょぼうより二見ふたみサラ文庫ぶんことして刊行かんこう。『かえるおんがえ』のおはなしは、『まんが日本にっぽんむかしばなし だい21かん』のなか収録しゅうろくされています。

 『讃岐さぬき民話みんわ ([新版しんぱん]日本にっぽん民話みんわ 5)』は、未來社 みらいしゃから出版しゅっぱんされています。万葉まんよう歌人かじん柿本かきのもとの麻呂ひとまろ和歌わかうたわれるほど、ふる時代じだいから今日こんにちまで、“世界せかい宝石ほうせき”とたたえられる瀬戸せと内海ないかいまもられ、四季しき折々おりおりみのりが約束やくそくされている讃岐さぬき平野へいやにより、温暖おんだんみやすい風土ふうどめぐまれた土地とち讃岐さぬきです。「さぬきのくにのはじまり」をはじめ「かえるおんがえ」など、おだやかでたのしい庶民しょみん生活せいかつつたわる民話みんわが63ぺん郷土きょうどのわらべうたが収録しゅうろくされています。

 『兵庫ひょうご民話みんわ ([新版しんぱん]日本にっぽん民話みんわ 25)』は、未來みらいしゃから出版しゅっぱんされています。兵庫ひょうごけんは、きた日本にほんかいめんし、みなみ瀬戸せと内海ないかいから淡路あわじしまかいして太平たいへいようへとつづいています。さらに、中央部ちゅうおうぶには中国ちゅうごく山地さんち横断おうだんするため、“日本にっぽん縮図しゅくず”といわれるほど、地質ちしつ地形ちけい気候きこうなどの自然しぜん条件じょうけん地域ちいきによっておおきくことなります。うつくしい自然しぜん多様たよう風土ふうどめぐまれ、広大こうだい地域ちいききた祖先そせんが、苦悩くのうしつつも、くらしのなか努力どりょくによりきずかれ、かさねてきた、「かえるおんがえ」などのたのしい民話みんわ83ぺん郷土きょうどのわらべうたが収録しゅうろくされています。

 『兵庫ひょうごのむかしばなし ([新装版しんそうばん]みがたり)』は、日本にっぽん標準ひょうじゅんから出版しゅっぱんされています。兵庫ひょうご県内けんない各地かくちつたわるむかしばなしを、兵庫ひょうごけん小学校しょうがっこう先生方せんせいがた郷土きょうど研究者けんきゅうしゃ方々かたがたこし、ふるさとの魅力みりょくひとこころをいきいきとつたえています。「カエルのおんがえ」など、いつまでもかたぎ、のこしていかなければならない宝物たからものが54ぺん収録しゅうろくされています。

あらすじ

 むかしむかし、あるところに、おじいさんとうつくしい三人さんにんむすめなからしていました。

 ある、おじいさんがやまあるいていると、へびかえるをくわえて、いまにももうとしていました。

 おじいさんは、かえるがかわいそうにおもい、へびかって、
 「これ、へびや、そのかえるまないでたすければ、ワシのむすめよめにやろう」
いました。

 へびはおじいさんのかおをじいっとあとで、くちけてかえるをポイっとはなしました。

 「やあ、へびよ、きわけてくれたのか。ありがとう」
って、かえるげるのをとどけてから、おじいさんはそのりました。

 それから月日つきひながれた、ある満月まんげつよる一人ひとりわかさむらいが、おじいさんのいえたずねてきました。

 わかさむらいは、
 「わたしはあのときへびです。約束やくそくどおり、よめもらいにきました」
とおじいさんにいました。

 「冗談じょうだんへびったのに......かえしのつかないことになってしまった。きゅうにやってられても返事へんじのしようがない。今日きょうのところはかえってくれないか」
とおじいさんはへびって、なんとかそのをとりつくろいましたが、本当ほんとうへびるとはおもっていなかったおじいさんは、憔悴しょうすいのあまりんでしまいました。

 そのは、しぶしぶ納得なっとくして、おとなしくかえったさむらいでしたが、つぎも、そのつぎも、そのまたつぎもおじいさんのいえにやってきて、
 「どうしてもむすめよめもらう」
って承知しょうちしませんでした。

 おじいさんは三人さんにんむすめんで、
 「おまえたちのなかで、だれへびとついでくれるものはおらんか」
いました。

 三人さんにんむすめおどろいて、
 「そんなことはできません!」
って、そのからげてしまいました。

 ところが、すえむすめもどってきて、
 「へびにとっては、約束やくそく約束やくそくなのでしょう。わかりました。わたしがおよめきます」
とおじいさんにつたえました。

 よめまえのあるすえむすめのところに、おじいさんからいのちたすけられたかえるおとずれました。

 かえるは、
 「巨大きょだいなひょうたんとはり千本せんぼん用意よういしてください」
すえむすめいました。

 かえるわれたことを、すえむすめはおじいさんにつたえました。

 よめりの巨大きょだいなひょうたんをい、千本せんぼんはりったすえむすめは、おじいさんにおくられてへびのすむやまかいました。

 あるいけのほとりにくと、へびけたわかさむらいすえむすめむかえにあらわれました。

 するとすえむすめは、
 「わたしよめにしたかったら、ひょうたんをしずめて、はりをすべてかべてみせなさい」
さむらいい、巨大きょだいなひょうたんと千本せんぼんはりいけみました。

 さむらいは、必死ひっししずはりをすくいげ、それと同時どうじに、ひょうたんをしずめようとしますが、どうしようもできませんでした。

 やがて、さむらいおこすと、いけ水面すいめんはげしくなみち、そのなみさむらい中心ちゅうしんにグルグルとうずいて、うずなかにいたさむらいおおきなへびとなりました。

 さむらい正体しょうたいおどろいたすえむすめは、大蛇だいじゃからげようと懸命けんめいはしりました。そして、おどうつけたので、そのなかみました。

 すえむすめがおどうなかにいることを確認かくにんした大蛇だいじゃは、おどういてげました。

 おどうきしみ、すえむすめが、
 「もはやこれまでか!?」
おもったとききゅうそとしずかになりました。

 すえむすめが、おどうそとてみると、そこには大勢おおぜいかえるがいました。

 かえるたちが大蛇だいじゃはらいちぎって、すえむすめたすけたのでした。

解説

 古代こだい日本人にっぽんじんは、へび信仰しんこうっていたため、「へび」は日本にっぽん神話しんわかずおお登場とうじょうします。

 へび信仰しんこう対象たいしょうとなったことには、様々さまざま理由りゆうかんがえられますが、へび特殊とくしゅ生態せいたいけいおおきく関係かんけいしているといわれています。

 田畑たはた害虫がいちゅうであるネズミやカエルなどのものまるみにする動物食どうぶつしょくきばそなわる毒腺どくせん脱皮だっぴという再生さいせいかえ生態せいたい、そして生命せいめいりょくたかさなどが、古代こだい日本人にっぽんじんなか徐々じょじょへび神格しんかくし、信仰しんこう対象たいしょうとしていったのでしょう。

 ところが、時代じだいくだるにつれて、人々ひとびと認識にんしき変化へんかがあらわれ、日本人にっぽんじんへび信仰しんこうなかに、つよ畏怖いふからすこしずつ嫌悪けんおふくまれるようになりました。

 そして、へびは、危害きがいくわえ、をもたらす動物どうぶつとして物語ものがたり登場とうじょうするようになり、おそろしい怨霊おんりょうとしての側面そくめん強調きょうちょうされていきます。

 つまり、へびは、日本人にっぽんじん嫌悪けんおされ、畏怖いふされつつも、忌避きひされるようになっていったのでした。

 『かえるおんがえ』は、へびに対する日本人にっぽんじんおそれとともに、崇敬すうけいねんいだいていることがよくあらわされたおはなしです。

感想

 「おん」とは、養老ようろう4ねん(720ねん)に完成かんせいした日本にっぽん最古さいこ勅撰ちょくせん国史こくし日本書紀にほんしょき』にもられるように、ふるくから「めぐみ」という意味いみ解釈かいしゃくされ、「めぐみ」「みうつくしみ」「みいつくしみ」などのかたがされていました。

 そして、「めぐみ」は、「草木くさきぐむ」などと表現ひょうげんするときの「ぐむ」を名詞めいしけいにしたとものとされています。

 「草木くさきぐむ」とは、「冬眠とうみんしていた草木くさきが、はるあたたかい陽気ようきはぐくまれてめる」という意味いみです。

 つまり、あるものもの生命せいめいあたえたり生命せいめい発展はってんたすけたりすることが、「めぐみをあたえる」ことであり、「おんほどこす」ことです。そのぎゃくのことが、「めぐみをける」ことであり、「おんける」ことです。

 したがって、おんというものが存在そんざいするのは、人間にんげん人間にんげんとのあいだにだけではなく、森羅しんら万象ばんしょうばれる天地てんちかん存在そんざいするかずかぎりないすべての万物ばんぶつ事象じしょうから、わたしたち人間にんげんひろおんけていることになります。

 けば お世話せわになりし ひとばかり

 上記じょうきしめすように、さまざまなおんによって、いまわたしたちの生命せいめい存在そんざいするということです。

 『日本書紀にほんしょき (いち)』は、岩波いわなみ文庫ぶんこからぜんかん刊行かんこうされています。同書どうしょはそのいっかんとなります。
 『日本書紀にほんしょき』は、養老ようろう4ねん(720ねん)に成立せいりつした日本にっぽんはつ正史せいしです。だい四十よんじゅうだい天武てんむ天皇てんのうだいろく皇子おうじである舎人とねり親王しんのうが、だい四十四よんじゅうよんだい元正げんしょう天皇てんのうめいによって編纂へんさんしました。ぜん三十さんじゅっかんからり、かんだいいちかんだい神代じんだいしょだい神武じんむ天皇てんのうからだい四十一よんじゅういちだい持統じとう天皇てんのうまでの国史こくしおさめています。
 こちらの『日本書紀にほんしょき (いち)』には、「かんだいいち神代じんだいのじょう」から「かんだいだいじゅうだい崇神すじん天皇てんのう」までが収録しゅうろくされています。
 原文げんぶん漢文かんぶんであるため、こちらのシリーズぜんかんでは、漢文かんぶん日本語にほんごとして意味いみがわかるようにあらためたくだぶんみぎページにあり、その註釈ちゅうしゃくひだりページにあるという形式けいしきなので、らくすすめることができます。また、補注ほちゅう豊富ほうふで、原文げんぶん資料しりょう掲載けいさいされています。ここまで網羅もうらしている文庫ぶんこぼんにはないでしょう。いつんでもあたらしい発見はっけんきないため、つねにそばにいておきたい一冊いっさつです。

まんが日本昔ばなし

かえるおんがえ
放送日: 昭和52年(1977年)05月07日
放送回: 第0135話(0083 Aパート)
語り: 市原悦子・(常田富士男)
出典: 表記なし
演出: 福富博
文芸: 沖島勲
美術: サキスタジオ
作画: 本木久年
典型: 動物どうぶつ報恩ほうおんたん異類いるい婚姻こんいんたん蛇聟譚へびむこたん龍蛇譚りゅうじゃたん
地域: ある所

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 かつてテレビで一大いちだいブームをつくった『まんが日本昔にっぽんむかしばなし』のなかから傑作けっさく101厳選げんせんしました!

 国民的こくみんてきアニメーション『まんが日本にっぽんむかしばなし』がDVDになりました!
 『かえるおんがえ』は「DVD-BOXだい2しゅう だい6かん」でることができます。

最後に

 今回こんかいは、『かえるおんがえ』のあらすじと内容ないよう解説かいせつ感想かんそう、おすすめ絵本えほんなどをご紹介しょうかいしました。

 あまりきなれない言葉ことばかもしれませんが、古来こらい日本にっぽんには、「おんおくり」という言葉ことばがあります。これは、「おんむくいる、おんがえしをする」という意味いみ言葉ことばです。かえりをもとめず、無償むしょうおんおくる、こころかよったあたたかさをかんじる、「おんおくり」の物語ものがたりが『かえるおんがえ』です。ぜひれてみてください!

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