
親切にしてもらったお礼として、狐からお爺さんがもらった頭巾は、動物の言葉がわかる不思議な頭巾でした。その頭巾の力によってお爺さんが富を得るというお話が『ききみみ頭巾』です。
今回は、『ききみみ頭巾』のあらすじと解説、感想、おすすめ絵本などをご紹介します!
概要
日本各地で語り継がれてきた口承説話のため、『ききみみ頭巾』の明確な原典とされる文献資料はありません
しかし、江戸時代前期の僧侶である浅井了意が寛文2年(1662年)に著した『安倍晴明物語』の中に、「晴明がカラスの声を聞いて時の帝の病を治す」という逸話が記されています。
日本各地に似たお話が存在し、その中には「お爺さんが神様から頭巾をもらう」というお話もあります。
また、同じような、聞こえないものが聞こえるようになる不思議なお話は、世界中に存在します。
絵本『ききみみずきん (むかしむかし絵本 9)』は、ポプラ社から出版されています。岩崎京子さんによる好奇心をくすぐる軽妙でリズミカルな文と、若菜珪さんの鮮やかで温かみのある柔らかなタッチの絵が融合したことで、動物たちの表情や森の情景、そして意外な展開は、子どもが物語の世界に没入する助けとなり、視覚的な想像力を刺激します。ポプラ社の「むかしむかし絵本」シリーズは、読み聞かせを通じて親子の絆を深め、想像力や共感力を育む絵本です。 絵本『ききみみずきん (岩波の子どもの本)』は、岩波書店から出版されています。『ききみみずきん』と『うりこひめとあまんじゃく』の二話が収録されてます。木下順二さんの軽快でリズミカルな文は、昔話の素朴さと現代的なユーモアが見事に融合し、子どもは物語の楽しさに夢中になり、大人はその奥に隠された深いメッセージに心を動かされます。一方、独特のタッチで愛される初山滋さんは、シンプルながらも温かみがあり、動物やお爺さんが柔らかくも表情豊かに生き生きと描かれているため、物語の世界に引き込まれ、子どもたちの想像力をかきたてます。 リズミカルな文体と短めの物語なので、読み聞かせに最適です。そして、読み終わった後は、思いやりや協力の大切さを知り、心に温かい余韻が残ります。「岩波の子どもの本」は、昭和30年(1955年)の初版以来、世代を超えて愛され続けているシリーズです。その中でも特に心に残る一冊が『ききみみずきん』です。 絵本『ききみみずきん (いまむかしえほん 10)』は、岩崎書店から出版されています。広松由希子さんが独自の視点で書かれたことにより、おなじみのお話が簡潔でありながらリズムがよく、そして心地よく語られています。降矢ななさんの柔らかく温かみのある絵は、色彩豊かな森の風景や、頭巾を被った男の表情に込められた感情が、物語の世界観を一層引き立て、ページをめくる度に心を掴んで離しません。そして、「八卦見」という言葉が物語を進める重要な鍵となり、丁寧な文と愛らしい絵が織りなす世界は、読む人の心に長く残ることでしょう。「優しさは必ず返ってくる」という希望を与える内容と共に、人間と動物が共存できる世界を、昔の人も抱いていたことが分かる一冊です。あらすじ
むかしむかし、あるところに心の優しいひとりのお爺さんがおりました。
お爺さんが芝刈りから帰る途中、子狐が木の実を取ろうとしていたので、お爺さんが代わりに取ってあげるととても喜んでいました。
ある日、お爺さんが街まで出かけて遅くに帰ると、先日の子狐が手招きしていました。
子狐についていくと、母狐と暮らす家に案内されました。
母狐は木の実を取ってくれたお礼にと小汚い頭巾をくれました。
翌日、お爺さんが薪割りをしていると、昨日もらった頭巾が懐から落ちたので、試しにかぶってみることにしました。
すると雀の話しが分かるようになりました。
お爺さんは不思議な頭巾に驚きましたが、それ以来いろいろな動物の話しを聞いて楽しむようになりました。
そんなある日、木の上のカラスの会話を聞いていると、村の長者の娘の病気が楠の祟りによるものだというのです。
そこでお爺さんは長者の家を訪ね、夜になると、蔵の中に泊り、楠が話しているのを聞きました。
お爺さんが聞いた話しによると、楠が祟っているのは、新しい蔵が楠の腰の上に建っているからだということが分かりました。
翌日、そのことを長者に伝え、蔵をどかしてみると、娘はすっかり元気になりました。
喜んだ長者はお爺さんにたくさんの褒美をあげました。
そして、お爺さんは狐の好物である油揚げをたくさん買って帰りました。
解説
昔、人間は自然と一体となって暮らしていました。
鳥や木や動物たちもみんな仲間だったのです。
鳥のさえずりや木々のざわめきが、何か話し合っているように聞こえるのは、昔の人間が住んでいた生活環境から得た実感でしょう。
感想
『ききみみ頭巾』の面白さは、頭巾という登場する道具に込められた夢のような効果は、使用する人物の性格によって変化するということではないでしょうか。
『花咲か爺さん』のお話がそうであるように、同じ道具でも心優しいお爺さんが使えば幸せになり、欲張りな隣のお爺さんが使えば不幸になるということです。
過度な欲望を戒める内容のお話ではありますが、『ききみみ頭巾』には欲張りな隣のお爺さんが登場しないので、思いやりの心があふれる明るい物語となっています。
まんが日本昔ばなし
『ききみみ頭巾』
放送日: 昭和51年(1976年) 01月03日
放送回: 第0026話(第0013回放送 Bパート)
語り: 市原悦子・(常田富士男)
出典: 表記なし
演出: まるふしろう
脚本: 沖島勲
美術: 馬郡美保子
作画: 樋口雅一
典型: 動物報恩譚・呪宝譚
地域: 東北地方(岩手県)
『ききみみ頭巾』は「DVD-BOX第5集 第22巻」で観ることができます。
最後に
今回は、『ききみみ頭巾』のあらすじと解説、感想、おすすめ絵本などをご紹介しました。
地球上に生きているのは、人間だけではありません。木も鳥も、小川さえも、みんな生きています。そのことを改めて思い知らされるお話が『ききみみ頭巾』です。ぜひ触れてみてください!